今週の儲かる繁盛店の視点 第357話:「チェーン小売業界の低い生産性水準から脱却し、高収益店を実現していく為に必要なコトとは?
店長に とにかく作業指示書を作って「いいからやれ!」って言ってるんですけど、なかなかやらないんですよ。
オンラインでの、とある企業の社長さんからのご相談です。
聞くところによると、「人手が足りなかったら、人を採用してもいい」といったところ、特需が一巡すると今度は人件費が大きく超過してしまった。とのこと。
――――今のままでは、人時売上は下がることはあっても、上がることはありません。とハッキリ申し上げました。
人口が増えていた時代、売上が上がれば、利益を確保することは出来ました。売上ピークを基準に人を確保するやり方で、誰でも簡単に回していくことができた古き良き時代だったわけです。
ところが今は、人件費単価の急騰から、売上の低い日に基準をあわせるやり方に変わってきています。
そもそも人時売上について、店長がこういった収益構造の変化を理解できていれば、売上が上がったからといって、安易に人は採用しないものです。
先の企業の場合、この対応方法が共有されないまま、採用を許可したため、いままでと同じように採用し、売上が下がった途端、人件費が予想以上に膨れてしまったのです。
こう言いますと
「今は、感染症対策の業務量も増えてますから」との声が聞こえてきそうですが、
――――特需は一巡しすでに売上は減少傾向です。その増えた業務について、人時がかからない方法について改善策は立てましたか?とお聞きすると
「えっ!」と言葉に詰まります。
多くの企業で、人件費が下がらないのは、単に採用単価が上がったというよりも、こうした、人時売上を改善していくための体系化された導線計画がないからです。
導線計画とは、契約人時を変更してから採用するといった決めごとや、非効率な業務を見直していくための解決手順を記したものです。
先の企業のように社長が「人時売上」を上げなさい!「いいからやればいいんだ」と、どんなに熱心に語っても、上げる目的や、それを引き上げていくやり方について取扱説明書がなければ、掛け声で終わってしまいます。
一方で、業務改革プロジェクトに取り組まれている企業の店舗では、特需期間中も、人時を抑えることができたことから、人時売上高は前年を上回っています。
そこでは、社長の考えをもとに、業革プロジェクト事務局によって、人時売上についての改善情報が共有できる仕組み作りが進められています。
経営者の皆さんであれば、人時売上についての基本的なことは、ご存知のことと思います。問題は、頭で基本は分かっていても、それを実際に使ってみなければ、応用する力は身につかないということです。
例えば、店の業務項目ごとの標準時間やそこにかかっている人時数をどうやって決めていくのか? あるべき目標人時はどのくらいなのか?それは実現可能な数値なのか?等々を題材に応用問題として取り組んでいくということです。
「そんな、細かいこと言っても出来ないんだから、いいからやれ」という声が聞こえてきそうですが
日本の小売業業界がそうやってきたのは事実です、これから先、きちん利益を出していくために、「いいからやれ」ではなく「なぜこうするのか」その理由を説明していかなくては、限られた人員で人時売上を確保することは難しいからです。
かつて、人口が増えていた時代であれば、社長の一声で、売上、規模の最大化でよかったわけですが、これからは、少ない人員で、売上維持させていくには、店長ひとり一人が、基本から応用までが出来るようになることが必要になるのです。
その為に、業革プロジェクトでは、理論と導線について、それをだれがやってもできる仕組み作りを中心に進めていきます。
さあ、貴社では まだ、売上ピーク対応型で、下がり続ける人時売上を眺めていきますか?それとも、各店長が 将来を創造できる環境整備に着手していきますか?