今週の儲かる繁盛店の視点 第368話:「なぜ、投資をしても改革が進まないのか?それは〇〇のままだから」
「先生、人時売上について 早くやるように言ってるんですがどうも結果が伴わなくて…」とあるチェーンの社長さんからのご相談です。
お話しをお聞きすると、店舗運営部を中心に作業指示書をつくってLSP化したものの、使いこなせず、他店に拡げられてないとのこと。
――――結果が出るまで、どのくらいの時間を見込んでおられますか?
「うーん!」
お知り合い企業に紹介していただいた方に導入してもらった、ということらしいのですが、これがレジの入れ替えように、今まであったものを新しいタイプのものに切り替えるのであれば、平時モードでやるのもいいといえます。
これまで、何十年もやってきた作業のやり方を見直し、変えていくのであれば、緊急モードで集中的にやらないと、ダラダラと何も変わらない状態が続いてしまうということです。
貴社の店舗内を見渡してみればお分かりになると思いますが、品出し、商品加工、発注、清掃といった作業に、決まったやり方はありません。
これまで、個人に任せでやることを是としてきた作業を、会社で新しく作業基準をつくりその通りやらせていく。これは口で言うのは簡単ですが、売場ごとに作業指示書に落とし込むとなると、トップダウンの緊急モードで、強力に進めていかなくては到底出来るものではないからです。
作業指示書とは、企業の人材を効果的に使えるようにするためのツールです。店長はそれに基づき、パートやアルバイトが時間内に作業完了できるようにしていくことが、新たな役割となっていきます。
一見して、どこが変わったのか外からは見えないのですが、ややこしいのが、こういった作業指示書の中にでてくる業務名称を再定義していくのは、全く別のものを作りあげるようなもので、一筋縄ではいかないということです。
「品出し」とはどこからどこまでなのか?「箱から棚に並べる作業」なのか、「倉庫からもってきて後片付けまでを」指すのか?といった業務名の定義をしていくことから始まります。
このくらいであれば、まあ、調べてどうすればいいかわかりますが、
では「接客」とは、どこからどこまでを指すのか?と考えた時「商品説明」なのか?あるいは「売場案内」なのか?はたまた「家電製品のように商品説明から支払いまで」なのか?
こういった、お客様次第でいつ起こるかわかりにくいことまで洗い出し、設定しきませんと実態とかけ離れたものになってしまうからです。
さらに、それをいつどうやって計画に落とし込んでいくのか? といった運用手順も明らかにしておくことも必要です。
作業指示書のとおりに行かなかった時に、Q&Aも用意してか無ければ「いやあ お客さんがいまして」とか「売場で商品を聞かれて」と言い訳が次々出てきて、「作業指示書なんて うちの会社には向いてない、作る時間が無駄!」という抵抗勢力を増やしかねないからです。
前出の企業の場合、運営部単独ですすめようとしたことから、こういったことに対応できず、遅々として進まなくなってしまったのです。
もし、今回の業務改革の目的は、今までの業務内容を再構築する一大プロジェクトので全社一丸となってすすめるために、社長直轄のプロジェクトとして位置づけていたとしたら、各主管部も全面協力してくれることから一気にスピード展開させていくこともできたはずです。
このプロジェクトには2つの役割があって、収益を上げていくための導線計画と、導入してから波及展開させていくための訓練。いわば、前半の部分で仕組みをつくり、その仕組みは誰にでもできるようにし全社展開をしていく。ということです。
気を付けなくてはならないのは、単なるLSPの導入のための研修組織ではなく、高い生産性を実現していく企業成長のための組織ということです。
人は入れ替わっても、仕組み自体がしっかりしたものであれば、効果を発揮し続けることを可能にするからです。
さあ 貴社ではまだ、平時モードで、投資効果の低いやりかたを続けますか?それとも、緊急モードで仕組みに投資し成功を手にしますか?