今週の儲かる繁盛店の視点 第372話:「人時生産性の目標どのように計上していくか?その導線計画あるのか!?」
「先生、LSPをやってる企業を見学させてもらったのですが、どれもうちには合わなくって、なにかこう簡単な方法ありませんかね~」とある企業の運営部長さんからのご相談です。
――――人時生産性はビジネスの生命線と言われており、誰にでも簡単にできるものではありません。とハッキリ申し上げました。
簡単にできる方法があるのであれば、国内全ての企業が高い生産性を出しているはずですが、現実問題として日本の生産性は欧米企業に比べ、大きく水を開けられています。
10年前に国内人口が減り始め、売上低迷が始まったとき「呼吸が止まった」かのように、企業収益がたちどころに傾いたのは記憶に新しいことと思います。
昨年の自粛特需でそれが薄れたものの、ふたたび停滞期を迎え収益は厳しくなってきています。しかも、皆さんが想像するよりはるかに早いスピードで起きていて、10年前の痛手を忘れてはならないということです。
「そんなことは、言われなくても分かっている」と声が聞こえてきそうですが、
――――では、来期の人時売上を向上させていく為の予算をいくら予定されていますか?と質問してみると、
「えっ?」とキョトンとした顔をされます。
「人時生産性はビジネスの生命線」と申し上げましたが、中でもチェーン業界は、人の力を余すことなく活かしていくビジネス、だからこそお聞きしているのです。
「うちはボランティアでやってる」というならともかく、企業経営として考えれば、「営業経費」「販売促進費」「広告宣伝費」とならんで「業務改革費」といったものを計上するのは、至極当然ということです。
実際、多くのチェーン企業の経営者の方は「客数アップのための販促経費強化」とか「新入社員採用のための採用費」であったり「新店のための出店コストは」しっかり計上しておくようにと社内で言っておられると思います。
ところが業務改革や業務改善になると「うーん、それは…、」といった、バツの悪そうな声が返ってきます。
批判を恐れず申し上げるとすれば、人時売上を上げる為の経費計上をせず、導線計画もなしに、企業生産性を上げるということは「人時生産性がチェーン業界の生命線」ということを、全く理解されていない。と言わざるを得ないということです。
この状態を一言で表せば、「なぜ?店舗からいい改善アイデアが生まれてこないのかと、口を開けて待ってる状態」ということです。
こうお伝えすると、ムッとしながら「業務改善経費の計上はなくても、改善活動くらいはちゃんとやってる!」と、反論が返ってきます。
うかがえば、人時を手計算で集計して月次報告で分析をしたり、LSP(レイバースケジュールプログラム)をエクセルで作成し現場カイゼンと称しコミュニケーションを良くしてる。
などなど、さまざまな活動に経費をかけてることをアピールされます。
たしかに、「人時売上の月次報告数値」や「レイバースケジュール」のようなことも立派な生産性活動で、どれも欠かせない事です。しかし、この改善活動には大きな問題があります。
それは、「活動に対して、計算が立たない」という点です。
――――では、来期の人時売上の見込予定はどれくらいになりそうですか?と突っ込んでお聞きすると、
「それは…、」「たぶん今年と同じくらい…」と歯切れの悪い言葉が返ってきます。
どれぐらいの売上や人件費がかかるのか?何となくの予想はついても、「単なる売上の伸び頼みで、販管費改善は手つかずでハッキリ言えない」というのが本当のところだからです。
人時生産性活動とは「取り組んだ分だけ、一定の確率で確実に利益になる」ことがきわめて重要になるということです。
カイゼン経費はゼロ、組織は兼任で…なんとなくのレベル状態が続くわけです。
つまり、100の活動に対して、最終的に6割とか5割の結果が確率論で実行出来る導線設計がしっかりと作られているかどうかです。
この仕組みがなければ「だぶん…、いくと思う…」といったあやふやな答えしか出せなくなります。
もし、貴社の社員に、来年の計画を聞いたとき、「たぶん、来年も同じ同じくらいの生産性じゃないでしょうか~」といった答えしか返ってこなければ、どう思われるでしょうか。安心して、枕を高くして眠ることが出来るでしょうか?
業務改善活動をやっている…。これは確かに間違いないでしょう。しかし「一定の確率で利益率を獲得できる、本当の成長企業としての生産性改善」を行なっているかどうかは別なのです。
先の企業経営者が行っていることは、生産性改善活動でなく、他の「似て非なる活動」を、知らず知らずのうちに行っていたということなのです。
このことは、経営者ご本人が考えているよりも、はるかに危険な状態に企業を追い込んでいるということです。
予算の無い計画というのは、無計画と同じで、誰も責任を取ろうとしない無責任状態を生み出す極めて危険な状態だからです。
実際に取り組んでおられる企業では、そういった仕組みのもと、来期~中期の人時売上目標を達成させる計画と投資枠が決まっていて、業務改革部門がその執行責任者となり毎年実績を積み上げています。
さあ、貴社では まだ、ゼロコストの無計画、無責任体制で、名ばかり生産性改善活動を繰り返しますか?それとも、来期、明確な目標予算を掲げ、どう攻略していくのか?その執行プランづくりに力を注ぎますか?