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今週の儲かる繁盛店の視点 第378話:「なぜ、店舗業務改革で戸惑うのか?苦闘から成功を手にするたった2つのこととは!?」

「一度、やってみたんですけど、担当者がつぶれてしまい出来なかったのです」

とある講演会で、お会いしたチェーン企業の社長からのご相談でした。

聞くところによると これから労働生産性が重要だ!と先代から言われ、業務改善担当者を任命しスタートしたものの、「荷が重くて外してほしい」と言われ、半年で頓挫してしまった。とのこと、

しかし「会社を引き継ぎ、なんとしても、この先発展させていきたい」という社長の強い意志をお聞きし、数カ月後、プロジェクトとして再スタートしました。

最初の数回のプロジェクトは悪戦苦闘の連続でした。しかしそれは、ある意味どの企業でも、乗り越えなくてはならない壁でもあるということです。

それは

・「取り組みがうまくいっても、プロジェクトで上手く説明できない」
   ・「話しの内容や説明は上手くいったが、その後の動きが遅く結果が出ない」

ということです。

なぜ、このようなことになるのか?それには理由があります。

さまざまな調査やとりまとめに時間をかけ過ぎると、どうしてもプレゼンなどの準備が疎かになり「何を言っているのか意味不明?」ということになってしまいがちです。

一方、企画や調査などは、行動とスピードが命ですが、情報の取りこぼしの無いように切り口の整理をしたり、調査の段取りに時間がとられ過ぎると、今度はスタートが遅れる。ということがおきます。

こういったことは、何十回とまでは言いませんが、5,6回ほど経験すると、徐々に場慣れし、プロジェクト当日に話す内容も覚え、参加者の表情を読みよさそうな内容に置き替えたりすることも出来るようになります。

しかし、プロジェクトがスタートして間もない頃は、よほど事前に練習を繰り返していないと、本番当日何を話していいのやら、アタフタしてしまうことも珍しくありません。

メンバーの中には、「店舗で大勢の部下の前で毎日話しているからだ大丈夫…」と思われてる方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、そんな方でも、当日顔色がみるみる青白くなり、額から変な汗が噴き出てまともに話せなくなってしまったという場面に、何度も出くわしたことがあります。

これは、同じ人前で話をするといっても「定例会議で話をする」ことと「結果を変えていく話をする」ことでは、次元がまるで違うものだからです。そもそも、目の前に座っている参加者は、決裁権をもつ「社長や専務、常務」です。とくに、オーナー兼社長を相手に、自分が物申すとしたら…。

提案を受ける側とすれば、「わかりやすい言葉で説明すればいい」という一言で終わってしまうようなことです。しかし、数日前まで、店長や副店長という現場で駆けずり回っていた人間が、いきなり、すぐにプレゼンのようなことが出来たらむしろ不思議?というものです。

実際に、始めの数回は惨憺たる状態でした。

しかし、プロジェクトの回数が5回、6回を越えて来たあたりで、変化が表れてきました。はじめてから8カ月が過ぎた頃です。

プロジェクト終了間際に、管理本部の専務の口から、「説明の仕方はまだまだだが、提案内容は成果が期待できる」といくつかの案件について、投資承認を得ることが出来たのです。

その承認案件の一つに、LSPの導入計画がありました。LSPとはレイバースケジュールのことで、人時を使った作業指示書のことです。

予め決められた導入手順に沿って、作業指示書を作成し日々の作業量に合わせ、人員配置を一元管理していくものです。

基本的にこれがあれば、今日の今の時間帯は、誰が何処で何をやっているのか?一目瞭然になるというものです。

通常ですと、一カ月ほどで準備を整え、二カ月目から稼働させることが出来て、三カ月からは動かせるようになっていくという感じです。

ところが、前出の企業では、半年たっても動かなかったのです。一抹の不安と恐れていたことが起きていたのです。

当初3人と言っていた事務局メンバーの人事発令が、1人しか発令されていなかったのです。
というのは、時を同じくして副店長が数名、退社することになり人事ローテーションが組めず、運営部長から「もう少し待っていただけないでしょうか」と言われ、半年が過ぎていたのです。

こういった先送り体質が、企業の体力を奪う要因の一つとなっていたわけですが、プロジェクトで取組みの承認が得られたにも関わらず、人時売上のまともな数値すら出ないという事が起きていたのです。

問題は、運営部長がこういったことが起きていたことについて社長には報告していたものの、「店から人を抜いたら困る」という周囲の意見に戸惑って決めることができなかったことにありました。

そのため、現場調査やとりまとめぐらいは、何とかやり繰りできたものの、いざ、LSPの運用段階で身動きがとれなくなり、改革PJ業務が滞ってしまったのです。

前職時代含め20年近く、各社の店舗運営の方と関わってきましたが、総じて言えることは、店舗運営部はこういった問題が生じた時、自部門でなんとかしようというする特性があるということです。

対外交渉が殆どなく、内務に関わる人が多いからだと思いますが、人事のことは管理本部に相談すればなんとかなることなのに「努力で頑張ります」といった根性論を美徳化するケース多いからです。

冷静に考えてみればわかることですが、人が抜けたあとをフォローしようとすれば残業も増えるはずですが、表面的な数値を良く見せようと残業をつけずに、処理する問題が無くならないのはこのためです。

始末に悪いのは、こういったことがあることはなんとなく気づいていても、なかなか問題が顕在化してこないことから、定例会議等で議題にもならないということです。

そのため、労基署の立ち入り検査が入って慌てて、行政指導をうけることが多いのです。

企業名まで公表されるリスクを考えれば、ワークルール違反を取り締まらなくてはならない立場の店舗運営本部が、その原因を作っていたといわれてもしかたありません

ここで社長に申し上げたことは、

―――退職者と業務改革は全て切り離して考えてください。ということでした。

一瞬戸惑いながらも、ここはやるしかないと苦渋の決断で、社長の口から出された指示は…、

「店舗で担当者を新規採用し店舗業務に穴が開かないようにした後、5名の売場チーフを副店長の職位に昇格させ、そこから2名を業務改革プロジェクトに人事異動する」というものでした。

この結果、一時的には、店舗人時はふえたものの、その数カ月後には、人時売上を引き上げるきっかけを掴むことになります。

仕事柄、大勢の社長やその幹部の方々を見てきましたが、いつも感じるのは、上手くいく人は、望むと望まざるに関係なく、「なぜか、こうした覚悟を決めざるを得ない境遇に追い込まれる」ということです。

そして「覚悟を決めて事にあたりはじめた人は、必ず結果がついてくる…」ということです。

3カ月後、プロジェクトに招聘された副店長候補の1人が、店舗に入り込み現場調査を行ない、次々店の人時削減方法を見つけ出してきたのです。

その活躍は、これまで遅れをとっていた業務改革に一石を投じ、導入店舗の人時売上高を一気に引き上げることになったのです。

一度は失敗し、再挑戦し同じ過ちを犯さないと、覚悟を決めた社長の姿と自分自身を重ね合わせて、「自分に出来ることは何か?」と、夢中になってやってくれたのかもしれません。

理由は定かではありませんが、事実として、こうしたケースは経験則的によくあるのです。

気づけば、プロジェクトスタート時マイナスだった全社の経常利益率は、4倍に達し、企画取り組み進捗状況から考えれば、二桁に手が届くのも夢ではないということです。

さあ、貴社では、まだ、現状維持のリスクを抱え低迷をつづけますか?それとも覚悟を決め、人材発掘+収益アップのチャンスを掴みますか?


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