今週の儲かる繁盛店の視点 第379話:「名ばかり改善と本物の業革どちらを取るか?ここで企業のあり方全てが変わる」
「先生、やれることは結構やりつくし、もう削れる無駄な作業はない感じです」とある企業の社長さんからのご相談です。
―――各主管部門の活動経費はどうやって決めていますか?とお聞きすると
「前年比、売上対比だと思いますが…」との答え。
―――やるべきは、店舗のムリムダを無くすことだけではありません、本部主管部門の活動費のあり方を見直すことの方が効果は大きい。と申し上げています。
人口が増え、売上が右肩上がりで伸びた時は、主管部中心のやり方で何とかなりました。今は人口減で売上が伸びない中、主管部門が活動予算をどう設定するかでその成果は大きく変わってきます。
伊藤はかねてより、各主管部門の活動費は店の人時生産性をもとに配賦すべきです。と申し上げています。
そうは言っても、「売上をもたない部門ではどうやって出すのでしょうか?」という声が聞こえてきそうですが…
仰る通り、管理本部や物流、販売促進部、開発本部といったとこは、売上をもっていません。しかし、売上は無くとも、部門毎の人件費と活動費はあるわけでして、まずは、その経費が、店舗の人時売上を引き上げるのに見合っているかどうか?ということです。
言い方を変えれば、主管部門についても売上中心のやり方から、人時売上中心へ業務改革を行なっていくということです。
また、新組織として業務改革プロジェクトであったり、そのサポートを行う事務局も必要になってきます。
こういった新設機能はその業務量と費用対効果を見込み、人員配備していく訳ですが、大事なことは、業務改革課といえども収支がとれるカタチの組織にしていくということです。
というのは、これと似て非なるものに、社長直轄の業務改善担当や、生産性担当といった名称の組織を有する企業があるからです。
俗にいう社長の一声で作られた社長直轄の部隊です。それは、それでいいのですが、実はここには、隠されたいくつかの問題点があります。
それは…「部下がいない」「活動予算がない」「目標予算がない」といった点です。
冷静に考えてみればわかることですが、目標も活動予算も実績もない組織は、いくらやっても成果はだすことができないわけで、こういった形式的な組織は早急に解消し、業務改革課に組み入れてください。ハッキリ申し上げています。
語弊を恐れず申し上げれば、冒頭の企業のように社長に「打つ手がありません」ということを言わせるような、組織など必要ないということです。
今年は少し人時売上があがったとしても、来期以降の生産性改善戦略が立てられないような部隊は最初にリストラされる運命にあるからです。
業務改革とは、社内の利益を生まない業務を探し出し、業績向上のチャンスを見いだすことであり、その活動に成果報酬が支払われる部門でなければらないということです。そう言う意味では、その人選はきわめて重要なものとなります。
一方で、こういったことを理解している企業では、取組む内容が全く変わってきています。
数百項目に及ぶ、店からの非効率業務を前に、これをどうすればいいのか…。この逃げれない状態を社長が意図的に作り、業務改革課とともに立ち向かうことから始まります。
運営部長は業務改革チームのメンバーと試行錯誤を繰り返しながら突破口を探り、導線計画書をつくっていきます。
ここでは、利益に結びつかない業務を止め、少ない人時で店舗を回す体制づくりに向け、集中審議を行い誰もが知恵を出します。さらに、そこで生まれたコストを活かし、店舗の付加価値サービスや商品販売力を高めていくことを提案し、企業として得るメリットを共有します。
社長は、このメリットに着目し、業務改革チームにその企画作りを指示し、「稟議・決済」を見据えた活動を支援していきます。
「そんなことまで、やらなくてはならないのか」という声が聞こえてきそうですが、
長年行われてきた、「儲からぬ慣習」の壁を崩すのは、想像以上の力が必要だからです。だからこそ、最低このレベルまでは詰めていかないと、突破することは難しいと言えるからです。
こうして、調べに調べ上げた上で、まとめられた提案書の成果は、これまで実に7割の成功率を誇り、まさに、一撃必殺ともいえる業務改革ツールです。
社長はこの提案された企画をバックアップしていくことで、主管部門に活動費の活用法を見直すように促すわけです。
果せるかな、この取り組み活動の一年が経過し、少しずつ主管部門による活動コストの見直しが進み始めました。
業績成果はまだ僅かでした。しかし、もう一つの成果としてこの活動をきっかけに、「社員が自社の弱点に対しそれを何とかしたい」とようと動くようになったということです。
これまで、やらされ感が先立ち、何ひとつ結果が出なかった業務カイゼンから、業務改革課自らが立てた計画で結果を出せるようになった。ということです。
この経験を通し、自らやる方法を覚えた社員は、本当に強くなるということです。はじめはヨチヨチ歩きでも、自分の足で立ち上がり、徐々に大地を踏みしめ、そして力強く歩けるようになっていくものだからです。
最初の半年間は何度も、途中で挫折しかけた業務改革チームでしたが、その奮闘により、社内に強烈な自信が宿り、課題と対峙した時、物怖じすることなく、「どうぞご安心ください、このような方法があります」と言える人間に成長したのです。
こういった活動のお手伝いをするのが当社の役割です
さあ貴社では、まだ、名ばかりカイゼンに、時間とお金をかけ続けますか?それとも、結果と行動がかわる本物の業務改革で、企業と人を大きく成長させますか?