今週の儲かる繁盛店の視点 第38話「店舗業務の可視化で成長する企業としない企業の違い」
「イトウさん、店舗での「見える化」って決まったやり方があるんですか?・・・」というご相談を受けました。
製造工場などの改善方法の小売業版あるのか?というご相談です。
——-今、最も店舗で困っていることを 可視化する工夫をしてみてください。
と申し上げてます。
前職で、最初に店長を拝命したときの店舗は、お客様からのクレームの最も多い店でした。
今ですと、店員の土下座がネットで流出して大騒ぎになる時代ですが、「店長をだせ!」ということが 毎日ありまして、(ここだけの話)私はしょっちゅう土下座はやっていました。
いつも店長が出てるようでは身が持ちません。
そこで、「改善すべきことを教えていただいたお客様に感謝を申し上げるとともに 改善を一定期間内に実践するマネジャーを育成する」ことに集中しました。
業務改善が実践できれば、クレーム件数は減り、人件費は減ります。
また、店の信用度があがり売上も増えることになります。
しかし、業務改善を進めるには大きなネックがありました。
業務改善が行き詰った原因は 人についていた仕事のためでした。
その状態で進めようとしたばかりに、相手を否定することになりパート社員の中で、喧嘩やトラブルが発生したのです。
職場がギスギスし、もめてくると パワハラとかに発展したこともありました。
まず、やるべきことは、仕事に人を置き換えるようにすることです。
人に仕事がついてしまっていると、「誰が」となってしまいますが、仕事に人であれば「仕事」が主語になるので解決が出来るのです。
価格間違い、接客態度、品質不良・・・といったクレームも個人能力に頼るのでなく、仕組みとして防いでいくと実にスムーズに解決ができるのです。
これの準備が出来た段階で 初めて 可視化が可能となります。
次に「日々見せる」ものは何かを設定し、実績を掲示し日々更新します
クレームに関する改善状況を 日別にお問合せ件数 解決までの所要時間を掲示し、改善事例はファイルを置き自由に閲覧できるようにしたのです。
すると、同じようなことが 他の売場でも起きていたことが分かってきます。
少しずつ、それが売場配置や教育不足の問題であったりすることが見えてきたのです。
今までは、単独の問題として対処していたのを、お店全体の問題として情報交流させたことで、他のクレーム予防に役立てることができるようになったのです。
そして、月が経過する毎にクレーム件数は減少し、お褒めの言葉が上回るように変化していったのです。
クレーム課題を可視化した 店舗の従業員が口々に言っていたことは・・・
クレーム対応が最も生産性の低い業務であることが分かった。
クレーム処理には、平均6時間も要していることには驚いた。
だれも教えてくれなかったクレーム処理の流れが分かった。
安心してお客様と話せるようになった。
クレームを言ってくれるお客様は自分の店のファンだとわかった。
クレームの中には 改善のヒントが最も多く含まれていることを知った。
赤 青などの色分けされているので良し悪しの判断ができ分かりやすかった。
どこに問題があったか一目瞭然なので、報告書が短時間で作成できるようになった。
一人一人の解決技術が上がれば、コストが下がり売上に専念できることがわかったのです。
大事なことは、可視化により お店の従業員が「本当の問題点に気づく」効果が得られたということです。
人間の五感は視覚による判断が90%と言われています
言語情報は7% 聴覚情報33% 視覚情報は55%を実務に置き換えて考えてみますと、言語中心のミーティングは1割以下 視覚と聴覚を使えばその9割が伝わることになります。
毎日のマネージャーミーティングには、当然、マネージャー代行が出席することもありますから究極の分かりやすさが求められます。
いち早く、見ただけで分かるものようにするために、可視化情報物の前でミーティングや朝礼を実施してました。
ミーティングは立ち形式で。もちろん配布書類は事務連絡だけです。
私の申し上げている「業務の可視化」とは「見える化」ではなく「見せる化」となります。
労配率の高い小売チェーンは、業種や売上規模の大小関係なく、情報伝達速度とその精度が企業成長の鍵となります。
経営者側が本気で「見せる化」してこそ、初めて活きてくるのであり それを手順どおりやっていくことが 販売力を高めコストを引き下げていく装置となります。
その3大メリットは
①到達目標と進捗が明確なのでブレない
②余計なことをしないで集中できる
③悩まないで即判断できる
というパート・社員の育成に効果を発揮すると言えます
さて、御社では お店の従業員全員に情報を伝えるのに 何時間かかってますでしょうか?
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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