今週の儲かる繁盛店の視点 第40話「新規競合対策で成長する企業としない企業の違い」
「イトウさん、大手チェーンが出店してくるんですが、コスト削減をしてるがもう削るところがない・・・」というご相談を受けました。
——-店舗の特徴づくりに知恵を集めてください。と申し上げいています。
新規競合は 出店してからじゃないとその恐ろしさは分かりません。
前職で、新任店長となって、その3ヵ月後に100メートル先に全く同質のスーパーマーケットが新規開店したときを鮮明に覚えています。
最大影響値は25% 年間で18%の売上ダウンでした。
その時の本部の指示は 価格の値合わせを徹底する、人件費を削減する。この2つでした。
安い商品を全面に陳列して安さをアピール!人件費は30%カット!これによって、数値上では、何も文句は言われません。
しかし、現場は大変です。安売りメインのお店になるとバーゲンハンターが増大、粗利益は悪化。
人件費削減により、品切れ続出、レジは長蛇の列、苦情の増大で従業員は疲弊しきりました。
退職者が増え、新規募集をしても全く集まらない状態が何ヶ月も続きました。
一年が経過し前年比が出るまで、ひたすら 歯を食いしばって耐えました。
ところが、一年を経過しても売上前年比割れは続き、コストは上がり 減益はとまりませんでした。
私は一年かけて「お客様に支持されない店」「お客様に選ばれない店」を作ってしまったのです。
しまった!と思っても 時すでにおそしです。
この日を境に、方向転換を決めたのです。
本部の常識は顧客の非常識だと気づき、本部の指示はスルーしながら、個店独自の方法の運営方法に変えていったのです。
普通の店では、売りにくい高単価で粗利の高い品を集め目標を掲げ積極的に売るようにし、安売り品はメインに並べないようにしたのです。
人件費の削減をやめて、スムーズに運営できるよう一旦戻してしてから、全ての作業を洗い出し、作業指示書を一から作り直していきました。
少しづつ、無駄な作業がたくさんあったことが見えるようになり、その時間を品切れ対策やレジに振り分けるようにしていきました。
3ヶ月過ぎる頃には前年比をクリアするようになり、6ヶ月後には予算達成水準まで回復をしました。
このうまくいかなかった経験のおかげで、この店では2つ特徴づくりできました。
ひとつは、パート社員が他店で売りにくい商品を売る方法をできるようになり、
ふたつめには、マネージャーが作業指示書の元となるレイバースケジュールを日常的に使えるようになったのです。
前職の会社が掲げていたエーブリデイ・ロープライス(毎日がお買い得)は過度に全てを安売りをするという方向に驀進していました。
その逆境の中で、本部になんと言われようとも、これをひたすらやり続けたことで、その売上シェアを1%、2%と上がるにつれて、全体の利益を押し上げ、作業指示書により、人件費を下げる利益構造に変えることができたのです。
大事なことは、決して安売りをやるな!ということでなく、その「商品価値に比べて価格が安く感じる売り方」こそが重要だということです。
人口が増え続けていた時は、モノを販売していくのに、お客様に価格を見せればいい時代でした。
しかし、少子高齢化、人口減少の時代に突入し、パイが減るということは、新規競合出店の例と同じことがいたるところで起きています。
この前提が変わった今は、価値とお客様を結びつける工夫がなければお客様は見向きもしてくれません。
これに気づかずにいると、価格競争に巻き込まれ、逃げ道のない人件費削減策だけでは閉店に追い込まれることは必至です。
さて、御社では、価格以外で「お客様に選ばれる店」にする手法、いくつもっておられますか?
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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