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今週の儲かる繁盛店の視点 第426話:「儲かる状態を作る前に、売れない状態に慣れてしまう企業の行く末は?」

先生 作業割当表を作ってみたのですが、それを他で展開しようとするとうまく出来なくて…、とある企業の社長さんからのご相談です。

お話しをお伺いすると、社内で作業の標準化とあわせやってきたものの、数値が上がってこないとのこと。

――――そのような取り組みで社員の意識は多少変わってくるとは思いますが、結果が伴わないことを、続けるのは難しいものです。なんでもそうですが、先行投資に対し、どのくらいの期間で回収することが出来るか?いわゆる投資回収率をどのくらいで考えておられますか?とお聞きすると

「いや、うちでは、新規採用をしているわけではないのでコストは増えてませんから…」といった答えが返ってきたりします。

―――プロジェクトは組織化され、すでに人件費は発生しているわけで、それが、どれぐらい寄与できるのか計画ではどのようになっていますか?ということです。

といいますのは、よくある話に、社長直轄と称して、好事例の情報収集や、店舗作業マニュアル作りといったことや、金融機関対策として、業務改革担当役員なるものを設置して…。という名ばかり改善を謳っている企業があまりにも多いからです。

各社それぞれのお考えがあるので、それをどうこう言うつもりもありませんが、本来であれば、この先、益々厳しい状況になっていく中で、企業として目指すべき目標を示し、一定の効果が得られる組織にしなくてはならないと考えるのが普通だからです。

気を付けなければならないことは、機能しない組織というのは、周囲から見てすぐわかるということです。例えば、人事異動で新しく店長が着任してきたとき、店長として部下のことを知り、お互い理解できるようになるまでには、早くて一年は必要で、ともすれば二年~三年とかかるものです。

ところが、部下から見れば、その店長が優れているかどうか?は、初対面のわずか数分で見分けがつくということです。

人は自分のこととなると驚くほど見えなくなる生き物ですが、上からはなんでも見えているようで、実は見えておらず、むしろ、部下や周囲からの方がはっきり見えるということです。これは、組織や戦略といったことにも共通しているということです。

企業として、どういったことを組織に求め、それをうけ部門長は年度目標を掲げ、取り組んでいくわけですが、その際社長は、その全社としての攻略法を持っているか?ということです。

「売上を上げなさい」というのは簡単でも、人口減少が進んでいく中では、相当厳しいものであることから、社長がとるべき戦略はどういもか?ということが問われるからです。

例えば、「何年までに店舗数を何店に増やす」であったり「商品アイテムを新規にどれぐらいに増やす」とか「営業時間拡大店を増やす、あるいはネットスーパーに着手する」といった売りに結びつく構想をもっているか?ということです。

そのために、組織再編をしたり資金調達でいくら必要?といったことであり、こういった、構想があるから、人事異動で組織に配属されても人はすぐに動くことができるわけです。

これは、業務改革も同じで、人口減少が進み、コストが上がる中で、「営業利益率を上げる」のであれば、「○○年までに店舗の人時売上高を1.5倍にする」とか「対顧客店舗コンディション評価を○○ポイント引きあげる」であったり「従業員貢献意欲調査評価を○○ポイント達成」といったことになります。

「そんな、聞いたこともない指標をいきなり出されても…」という声が聞こえてきそうですが、

見方を変えれば、自社が聞いたことがない=競合も同じ状況にあるということですから、先手を打つことで、優位なポジションからビジネスチャンスを掴むことが出来るということになります。

人時売上というと、=人員削減というマイナスイメージが先立ちますが、少ない人数で今以上の利益を確保するためには、今やってる利益のでないことを止め、利益をとれることに人時を再配分させていくということになります。

簡単な話、顧客を増やすために店舗コンディションを引き上げに人時を配分していくということが必須となり、そこで、目標達成に大きく貢献してくれた人をしっかり評価し給与を出しますよ。ということです。

つまり、自社として現状の人時売上、店舗コンディション評価、従業員の貢献意欲評価がどのくらいなのか?といったことを知ることから着手していく事になります。

売上を上げる場合には、出店コスト、商品開発、新規事業と高額投資が必要となりますが、今、物の価格が何倍も上がり続ける中、このやり方採算ラインに乗せるのが難しいことは容易に想像がつきます。

一方で、業務改革プロジェクトを設置しておこなう場合、企業収益構造を変えていくものであることから、低コスト短期間で営業利益を増やすことが出来るという大きなメリットがあります。

売上はコントロール出来ませんが、コストはコントールできることから、一定の確率で、数値改善が見込めるということも大きなメリットとしていえます。

客数視点でも、何をやればお客様が期待以上の対応として認めていただけるのか?ということを明確にしていく事で、一定の確率で結果をかえていくことは可能です。

また、その業務に携わった従業員の人時売上改善への取組み意欲が飛躍的に向上し、自信がつくという事です。

人時売上の中で、影響を及ぼすのは「契約人時」の変更です。契約人時とは雇用契約にもとづく人時数のことですが「人時売上実績をやっても、個人の契約変更までたどり着くことが出来ない」というものです。

いわく「作業割当表をつくって、必要人時に合わせて契約人時の修正が簡単にできたら、とんなに素晴らしいことか」と考えるそうですが、

現実的には人時予算の根拠づくりも分からないし、人件費引下げのための、契約人時の変更などはどうやればいいのか…考えが止まってしまうということです。

こうした時、実際にどのようなことをされているのか、細かく伺ったりしますが、常々思うことは、

―――このやり方では、とても契約人時の変更は出来ないのでは…。と、思わず言いたくなるほど「契約人時」に無頓着な人が、あまりに多いということです。

そもそも、「店舗人時をコントロールしなさい!」と言っておきながら、なぜ、店長に何も武器を与えず「丸腰」で売場に立たせているのか、ということで、これは、実に不思議と言わざるを得ないのです。

「そんなことはない!」との反論も聞こえてきそうですが、圧倒的に大多数の企業が、「丸腰」で店長に作業だけをやらせているということです。

「丸腰」とはどういうことかと言えば、店長が売場の責任者と話をするときに、該当売場の人時売上改善手順を説明する資料も持たず、品出し作業をしていて、その時用意してるのは、「売上高」だけ、というような状態のことです。

弊社では、この状態を「丸腰」と呼んでいて、人時売上の取り組みを促すための、必要なものが何ひとつ用意されていないことを言います。

世の多くの社長の方のために、まず申し上げておかなければならないことがあります。

それは…「チェーン経営に於ける、収益強化の重要なポイントは契約人時にある」ということです。

このことが腹の底からわかっていない限り、すべての準備も活動も、絵そらごとになってしまいます。

喉から手がでるほど欲しいと言っている収益拡大策なのに、店が目指すべき目標人時実現のための手順書類や、各店舗の取組み進捗状況がわからないということは、これを「丸腰」と言わずなんと言うのか、ということです。

実際、これまでご相談におみえになった方で、各店の人時売上実績を、用意しているという方は、ほとんど皆無に近く、逆に、驚くべき確率で「売場出来栄え写真・売上概算、粗利率、」といったデータだけは用意されています。

誤解を恐れず申し上げれば、良い時に撮った売場写真など、無くても「収益活動」には全然支障ありません。しかし、「人時売上予算や実績」は絶対なくてはならないツールであり、これを用意せず、人時売上を店舗にやらせるなど、生産性改善の本質がわかっていないということです。

利益を生まない業務を見つけ、利益を生む業務に置きかえていくためには、そこに張り付いていた人に、契約変更の協力依頼を丁寧にしていくことが店長の最も重要な業務になってきているからです。

そのためには、一定確率で結果が日々改善されていることが前提であり、それをもって一人一人を賞賛することが欠かせないからです。

人時売上は、人を削減するものでなく、一人一人の能力や技術を最大に引きだし、その貢献意欲を最大化するものに他ならないからです。

さあ、貴社ではまだ、「売れない」状況に大量の人手をかけ続けますか?それとも、人時売上+顧客満足度+従業員貢献意欲アップで、人時売上を伸ばし、儲かる企業を実現しますか?


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