今週の儲かる繁盛店の視点 第448話:「店舗コンディション経営を活かす仕組みを持っていない企業の行く末は?」
先生、チラシを打っても前年実績に届かないのです。オンデマンドセミナーをお聞きになった企業の社長さんからのご相談です。
お話を伺うと、コロナ前の売上に対しても大きく下回っていることから、チラシ本数や部数も増やしてみたものの、それでも数値が回復してこないとのこと。
――――コロナ前の水準を下回るのは、予想できていたことではなかったのでしょうか?と申し上げると…
「えっ」と言葉に詰まります。
新型コロナの巣ごもり特需で数値が上がり、その後、人口減とともに、売上減少状態に戻ったにすぎないということです。
今は、食品日用品が中心の減少に留まっていますが、このあとすべての商品・サービスが同じ状態になるのは火を見るより明らかということです。
これまで、チラシを見て来店された団塊世代のお客様の高齢化がすすみ、買い物に来ることができなくなってることから、今後さらに進んでいくことになります。
先の企業のように急な売上減に気づけば「まずい!」とスグに動こうとするのですが、なまじゆっくりとした変化だと、「まあ、どこも同じような状況だから…」と、決断の先送りが繰り返し行われ、競争力のない古いやり方がそのまま続いたりします。
こうしたときに、今まで通用したやり方はどうであったか?その検証をしておくことができるかどうかで、人口減少の時代でも、収益力は上げる方法を見つけることができるということです。
直近では、自粛特需で増えた人件費は企業成長に必要なことに活用することができたか?といったことが上げられますが、人時売上に着手できなかった企業では自粛後、売上の落ちこみ以上に水光熱費上昇で厳しくなった状況はいまも続いています。
販促費も例外ではありません。自粛期間中にチラシ訴求を見直すきっかけのチャンスがあった際、チラシ効果を検証されてこられましたか?ということです。
チラシ問題はその企業にしかわからないことが多いものですが、これからは、売上が上がるとか上がらないとかでなく、利益を上げるのに本当はどこまで打つ必要があるのか?立証していかなくてはならないということです。
大事なことは、社長として一度決めことだからそのまま続けるのではなく、後に調べて分かった事や、先に申し上げたような検証を、利益が上がるようになるまで何度でも考え直す必要があるということです。
折込みチラシは、瞬間的な集客には向いていますが、それを見た人が自から問い合わせをしたり、購入をするといった行動をしないと売り上げに繋げることができません。
企業として、お客様にアプローチすることができない「相手次第で結果が変わるやり方」について今後どうしていくか?真剣に向き合っていなかくてはならないということです。
「相手次第で結果が変わるやり方」にお金をかけ一発逆転を狙うより、自社でコントロールできるところにお金をかけて、着実に利益をあげていく手法に切り換えていくということです。
お買い物をされたお客様に対し、意図して問いかけることによって、対応をとって体制を整えていく導線を作るということです。
「そんなアンケートのようなことをやってもお客様は本音をいわない」という声がきこえてきそうですが、
各社お考えがあるので、それをどうこう言うつもりはありません。しかしながら、貴社の周囲に出店していきている、ドラッグやコンビニなどは、そういった市場調査を徹底して出店してきます。
地元で長くやっているなんでも知り尽くしているとプライドを持ってやることも大切でしょう、目の前にいるお客様が何を求めているか調べ、顧客に寄り添おうとする企業のどちらを選ぶかは、お客様次第ということです。
人は問いかけすることなく、答えてくれることはありません。本音を言ってくれるお客様がいないからと言って、行動しなければ、市場の世代交代が起きているニーズとかけ離れていくだけ。ということです。
「そんな、調査は同業他社では、やってる話など聞いたことがないし…」という声も聞こえてきそうですが、
チェーン各社がやろうとしないからこそ、そのような仕組みで、顧客が何を求めているのか捉えることに価値があるということです。
これができれば、問題があるのはどの業務なのか作業指示書上で、他社より早く改善することができるからです。
弊社でご支援をさせていただいているB社でも、業務改革で作業指示書を動かし始めた後に、顧客満足度調査を開始し、店舗運営業務を見直しされております。
例えば、お客様への問いかけのひとつに「品切れ」といった評価項目がありますが、100点満点中40点と低かったことから、プロジェクトで重点課題に設定にしました。
実際に調査をしてみると、毎日100アイテムほど品切れがあって、特に、月曜日や100均―チラシの翌日は倍以上の品切れが発生していたことがわかりました。
理由をお聞きすると「人がいないから」ということでしたが、本音としてはこれ以上採用すると人件費オーバーになることから、採用ができないという切実な問題に直面していました。
そこで、さらに追跡調査をしていくと、昼に到着した荷物を、限られた人数で終日かけ品出ししていたため、すぐに商品が売場陳列されないことわかりました。
また、日によって納品数量が変わるため、商品量が多いときはその日のうちに終わらないこともある一方で、納品のない時は逆に人手が余っていたこともわかりました。
品出しのような作業は、大勢で短時間に集約化してやるほうが効率的なことから、まずは、作業を夜間で集中的に実施する方式に切り換えました。
次に納品数量に合わせ、出勤体制を組み直すことで、結果的に人時売上は上がり、顧客満足度調査の評価もなんとか60点台まで回復することができたのです。
お客様は、本音のことは言ってくれません。しかし、店で起きている事実は教えてくれます。
こういったことに、真摯に向き合い改善を進めることができれば、売上客数を回復させることは十分可能になるということです。
売上げ、客数、客単価といった売上だけを追いかけるやり方から、対顧客店舗コンディションを使い人時売上を上げていくやり方で、収益を上げるサイクルが回るようになると、店は想像以上の結果を発揮するようになるということです。
さあ、貴社ではまだ、効果の出ないやり方で、大きなリスクを抱え続けますか?それとも、店舗コンディション経営法を活かし、来期は想像を超える成果を手にしますか?