今週の儲かる繁盛店の視点 第456話:「なぜ、一つの店での成功事例を、多店化することが出来ないのか?」
今日で1月も終わり、明日からは2月です。2月は日数が少ないため、通常気分でいるとあっという間に月日が過ぎてしまいます。
他の月から見れば営業日数が少ないものの、バレンタインや節分といったイベントに加え、祝日も二日間あって盛りだくさんの月といえます。
日数が少ない分、人時数も少なく抑えられることから小売りチェーンのようなパートアルバイト比率の高い業界は人時売上が高めに出ます。
数値的なことでいえば、1割ほど少ない人時体制で生産性を上げているわけで、この水準を他の月でも出せれば…業績を変えることができる?と考えを巡らせたりするものです。
先日も、お手伝いをさせていただいている企業で過年度の人時売上推移をみてみると、12月に次いで2月が高くでることが示されていました。
このグラフを見た社長曰く「他の月でも2月と同じ実績を出せないものだろうか?」とポツリ。すると、プロジェクトメンバーからも「好事例店舗で出来たことを多店化しようとするとなぜかうまくいかない」とか「店舗間のレベル格差はなぜ解消できない」という意見が次々に出て大いに盛り上がりました。
そもそも、多店化するとはどういうことか?ということですが、経営と現場側の意見が合致していなければうまくいきませんし、思い込みや、曖昧にしか理解せず「お互いの期待値」だけで進めようとすれば当然効果もでません。
もちろん社長さんであれば、「感覚的に分かっている」という方が大半でしょう。
ただし、はっきりと説明できない人が、これまた大半だと思います。当然ですが、現場の店舗ではそれがさらに曖昧になっていきます。
いわば、「売場の状態を良くして売れる店をつくる…」みたいな、分かるような分からないような、話になってるのが実態であったりします。その根本原因は、多店化に対し、正しく理解していないことにあります。
そのため、これから、多店化を進めていこうと考えている「初めて」の方はもちろん、すでに多くの店舗を構えているという方にも、成功させるための実務ポイントを理解しておいていただきたいと思います。
よくあるのが、多店化は、売上シェア獲得、ドミナント形成のための防衛手段…といった話を聞かれたことがあると思いますが、逆に言えば、いまだ多くの経営者が、こうした、部分的な使い方や、もったいない発想で多店化を行おうとしているということです。
多店化とは何かと問うたとき、他の答えや、誤解があることも恐れず、あえて分かりやすくお答えするとすれば「高収益化の仕組みを作ること」と、当社ではお答えしています。
これは、主管部門が行う効率改善や、それらに関わるDX化推進企業や研修企業といった方々との違いをハッキリさせるためあえて明確にしています。
既存店舗のやり方を部分的に改善するのではなく、儲からなくなったやり方を一旦止め、全社として儲かる仕組みを作っていくこと。と申し上げています。
人時売上を引き上げていくためには、店ごとの人時売上を毎年一定確率で引き上げていく人時改善力が欠かすことができないからです。
しかし、人時改善を進めようにも現状延長上の「売場づくり」「接客」「業務のデジタル化」「オリジナル商品」といったやり方では、ほぼ効果ゼロなのはお分かりになると思います。
言い方を変えれば、毎年上がり続ける販売管理費の解決法の書かれていない計画をもとにいくら議論をしても、求めている答えは出てこないということです。
各社お考えがあるので、それをどうこういうつもりはありませんが、今のやり方を続ければ、収益を悪化を止めることは出来ず、資金が底をつくのは時間の問題だということです。
また、チェーン企業で高収益化を実現していくためには、人時改善ができる店一店舗だけではだめで、それを拡げていかなくてはなりません。ところが、その多くは「人に仕事がついている」ため、担当者が辞めたり人事異動で変わってしまうと「店舗業務改革のノウハウ」を導入しても引継ぎが行われず、店舗はすぐに元の状態に戻ってしまいます。
社長ご自身が「一つ出来たら、あとは社内で努力して…」と言ってはみたものの、一年経っても一店舗も増やせず、これまでの努力を水の泡となってしてしまう企業が後を絶たないのはこういった根本的な問題が未解決のままになっているからです。
この問題を解決していくには、組織改革を行い拡げていくための専門チームがそれを担っていくことになります。いまのまま低収益の店舗の数が多ければ、ズルズルとそちらに引きずられ一向に進まないからです。そのため、人時売上力をもった店舗数の比率は5割以上が死守ラインと申し上げ、ここに大きく力をいれていきます。人時売上力をもつ店が過半数を超え8割から9割に拡大していくことができれば、高収益構造実現も夢ではないからです。
実際その比率を超すことが出来ている企業では、コロナ禍であっても、毎年利益を業績を伸ばし続けています。
しかしながら、人時売上を上げていくことにも相応の時間がかかってきます。仮に、すぐ取り組まれたとしても、ひとつの店で結果を出すのに最低でも1年かかり、それを広げて過半数を超していくのはさらに3~5年後は必要になります。
言わずもがな、今から着手しなければ、団塊世代が後期高齢者に到達する2024年から起こる客数減と超高コスト時代の危機を乗り越えることは難しくなるということです。
さあ、貴社では、まだ、人時生産性改善について「一つ出来たら、あとは社内で努力して…」といったことをやり続け収益悪化を黙認しますか?それとも、高収益の店をつくり着実に拡げていく体制で大きく躍進しますか?
挑戦し続ける企業の社長を支援するのが私たちの役割です。