今週の儲かる繁盛店の視点 第478話:「なぜ、良い店に対する明確な考え方が無いと、収益改善策は上手くいかないのか?」
7月に入り蒸し暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか?
徐々に暑くなっていくのであれば少し楽なのかもしれませんが、ある日突然蒸し暑くなったり、からっと晴れたり、雨で冷えたりすると、どうしても疲労が重なり、体調を崩しかけたりするものです。
人は変化を好なまいものと言われる所以は、こうした体調変化を起こすことからといえます。企業も同じで、こういったときは様々な行き違いや食い違いといったことが起き、大きな問題になったりします。
先日も、「先生、人事制度の見直しをしないといけない時期にきていまして・・・」と、セミナーに参加された企業の社長さんからのご相談です。
聞くところによると、昨今の値上げにより、売上は上がっているものの、それ以上に販管費が上がっているため、売上粗利をメインにした評価があわなくなってきているとのこと。
小売業界では、表面的な売上粗利に対する評価や人物評価はあっても、それに見あったコスト管理が出来ているか?といった評価法を持つ企業は少ないのが現状です。
そのため、先の企業のように収益率は上がらないのに、個人評価だけが良く出てしまうことが起こります。
そもそも、値上げにより、買い上げ点数は減ってきていることから、品出し、加工、レジなどの作業総量は減っています。
ところが、本部から人件費を減らしていく具体策が提示されないため、店長は、チラシや人手に頼ったやり方を続けるしかなく、そのためムリ・ムダなコストが発生します。
見方を変えれば、これまで、モノの値段が低い状態が続くデフレによって、「忙しだけで、儲からなかった小売りチェーンビジネス」を、、
「働く人が豊かな暮らしができるビジネスモデルに変換していく」大きなチャンスということです。
実は、チェーン小売りビジネスにおいて、簡単そうで難しいのが、「売上を利益に換える」部分だったりするからです。
いわゆる、「毎日、たくさんの商品を売り売上をあげても、商品仕入れや人件費、電気代といったことにお金がかかり、儲かる商売にならない」…と悩んでいる経営者が、非常に多いのです。
それでいて、「チラシ強化をやり続ければ、そのうち固定客がつく」といった人口が増えていたころのやり方で、人手と販促費をかけ頑張ろうとします。
いつか花が咲く…と願ってのことだと思いますが、残念ながら「売上を利益に換える方法」が分からなければ、この蟻地獄の停滞状態からは抜け出すことは出来ないということです。
これから先、どういった「良い店舗」を作っていくのか?という考え方にこうした相違があれば、店舗運営や商品戦略、出店改装、人事制度等で、思い描いていた結果にも、当然食い違いが生じます。
もっと言えば「良い店舗」という、この極めて抽象的な言葉がクセ者であり、魔力さえあるのです。誰でも、好き好んで「悪い店舗」を作ろうと考える人など、まずいないでしょうし、良いお店を出したいと思うはずだからです。
このため、周囲の関係者や先代から「売れる店づくり」「良い店舗づくり」が大事などと言われると、具体的にどういう店にするかはそっちのけで、「がんばります!」と反射的に答え現状維持を続けてしまうのが、多くの経営者の悲しい性なのです。
自分にとって良い店の明確な考え方が無い限り、貴社の収益改善策は間違いなく失敗する。という現実があるということです。
これは、脅かそうとして申し上げている訳でも何でもありません。30社以上、数千以上の店舗生産性改善の案件に携わってきた者としてお伝えする現実だからです。
「売上も内容も両方満たせば良い店に違いない…」という欲張りな目標を達成していくには、投資をして有効なノウハウを手に入れ動くことが、必須になってくるということです。
しかし、この理屈を理解せずに店舗売上を追いかけ続ければ一体どうなるか…。実に単純です。「こんなはずでは…」ということが起きます。
例を挙げれば、
「売れる店がいくつかあり、周囲から凄いといわれるが、全体収益に繋がらない」
「お客様第一のはずが、過去のやり方に縛られ、時代遅れなやり方になっていた」
「自社のウリであった良品廉価が、顧客や従業員から重きを置かれていない」
「チラシ等の販促強化をしても、その場しのぎで全体の収益に繋がらない」等々
こう言った不具合が、随所で起きていませんか?ということです。
なぜ、このような予期せぬ出来事が起きるのか…。その最大の理由は、「経営者自身が、考える理想の目的とそれに合った戦略を持っていない」ということがあげられます。
例えるなら、漠然と「癒しが欲しい」と思ってペットを飼ってしまうようなものです。
仕事や収入や貯蓄、さらには自分の考える理想の家や暮らし、家族のことや将来のライフスタイル…といったことを考えずにペットを飼えばどうなるか…。
「癒し目的のペット」というのは、先の「良いお店」と同じで、誰も否定できない魔法のような言葉です。
考えがまとまってない人が、何処かのペットショップによって相談すると、「これがペットのいる暮らし」と言われると「なるほど、そういうものか」と、誘導されていく…ということが起きたとしても、何ら不思議はありません。
しかし、当然ですがズレはやがて表面化します。
「餌やりとフンの始末が大変」「鳴くので、近所からクレーム」「想像以上にかかる予防接種や治療費」「ペットも齢をとることから高齢化とその介護」…といった「こんなはずでは…」のトラブルは、購入時での思い違いが多くの場合の原因です。
大事なことは、「自分が考える理想や目的」というものを、しっかり持っていれば、こうしたトラブルの多くは未然に避けることが出来るという事実です。
店舗運営を変えていく目的や、戦略をしっかり持っていれば、例え、周囲の関係者や先代からいろいろなことを言われても、迷いは最小限で済みますし、そもそもお門違いの人に相談することは避けられます。
チェーン小売り経営者の方々が望んでいる収益結果に、少しでも近づくこと。
そのための知識やノウハウを弊社ではお伝えしています。もちろん、結果が想定通りになるかどうかは、やってみなければわからない部分はたしかにあるでしょう。
しかし、「まるで話にならない」とか「全然ダメ」ということは避けられます。実際多くの実績に裏打ちされた方法だからです。
さあ貴社では、まだ、目的戦略が曖昧なまま、結果出ないやりかたを続けますか?それとも、目標に少しでも着実に近づく方法で、高収益化を手にしますか?