今週の儲かる繁盛店の視点 第503話:「2024年を飛躍の年にするために」
今年も余すところあところあと僅かとなりました。今年はコロナが5類に変更されようやく、平常時に戻るかと思えば、いろいろな出来事がたくさんあり、もうコロナいつの話?…といった年であったといえます。
1、過去からやってきたことの是正を迫られた年
2023年を振り返りますと、長引くロシアによるウクライナ侵攻に加え、イスラエルの報復といった戦争が世の中を震撼させることが続きました。
自衛隊の秘密組織「別班」をテーマとしたドラマが空前のヒットとなるなど、昨今の米中の対立からさらに国の安全保障や企業そして国民一人一人がどうあるべきかが注目された年といえます。
こういったことに端を発し、企業や政治が、個人の利益を搾取することへの反感が大きくクローズアップされました。
大手中古車企業の不正、大手芸能事務所の性加害問題、国内最大大学の薬物使用事件、自動車企業の不正、政治資金キックバックの問題、といったことが次々明るみになり事件となったのは記憶に新しいことといえます。
その共通点は、長きにわたり続けられた過去の不都合が、既に会社を辞めた方々や現役として不満を抱える人々の告発によって浮き彫りにされたということです。
背景にはスマホやSNSの進化により、マスメディアが世論を動かした時代から、個の力が世の中を動かす社会になったことがあります。
大手や地元有名企業だからといって、こうした状況を放置すると、現状に不満を持っている人や過去不満を抱えてきた同士SNSでつながり、世論から叩かれ多大なダメージを受けるということです。
特に、人を多く抱えておられる企業では、勤務時間などの「まるめ」や「みなし」といったグレーゾーンは労働時間の搾取問題と直結してきますし、企業の管理職や医療業務に携わる医師、教師といった専門職の長時間労働による健康問題も、さらに大きな問題となってきます。
まずは、なぜ、そういった問題がおきてしまうのか?地に足をつけ丁寧に解決していくことが求められる年になるといえるでしょう。
2,商品値上インフレ後の企業間格差の拡大
国内企業の業績は、コロナ前2019年の伸びを大きく上回る結果となりました。
小売りチェーンに限っても商品値上げ、インバウンド需要回復、賃上げといったことから、一年以上も売上が伸び続くという異例の年となりました。
しかし、世界に目を向ければ、半年ほど先をいっている欧州ではすでに値上げ疲れから消費は低迷に入ってますし、米国も消費者物価の伸びは鈍化しており、元の状態に戻りつつあります。
売上アップの要となった値上げ品目数も、2023年は約32000品目と過去最高の品目数が値上げが実施されましたが、2024年はその四分の一程度の品目数に減ることが分かっています。値上げによる売上アップ効果は消え、節約志向がそれを上回ることで売上前年割れが予想されるということです。
今年の年末商戦からもわかるように、季節モチベーションなどのハレの時は、ある程度お金は払っても、平時は節約心理が強く出ることから、いつでも、欲しい分だけ、価値あるものを、安く購入できるような営業力を発揮できる企業と、その他企業の格差は鮮明に表れてくるといえるでしょう。
一方で、経費はというと、電気、ガソリン、資材、運送費は軒並み上がり、中でも人件費は、最低賃金の引上げと賃上げによって大きく上昇し来期もその流れは続きます。
だからといって、採用単価を下げると採用が難しくなるため、業務量をどう減らしていくかが問われてきます。
実際に売上を維持するために、作業ごとにどれだけの人員が必要なのか?といったことを具体的に数値化していくことが求められるということです。
もし、来期売上が上がらず、下がることを予測されてるのでしたら、もう一段、二段と業務量を減らし利益確保していく流れを、今すぐ取り掛かってておくことは必須となります。
今からムダな動きの何をやめ、利益に結び付けていくために何をするのか?といった行動が出来るかどうかで、2倍~何十倍もの利益の差が年明け早々からでてくるということです。
3、問題の解決を高速化させていくことの重要性
2022年はコロナが時間に対する価値感を変え、オンライン化、在宅化といった、企業の働き方に大きな影響を与えました。
2023年は、AIチャットGPTが登場しさらにその状況は大きく変わってきています。
様々な質問を投げかけていくことで、生成AIが答えの文章を創り出してくれるようになったことで、事務処理の速度アップになりそうなことはなんとなく想像できます。
ここから明らかになったことは、どのような質問を投げかけるかによって、創り出される答えが変わるということです。
言い換えれば、こちらが求めている答えを引き出すために、答えを引き出すための質問力が求められるということです。
これは、チャットGPTに限らず、人が人に対する質問も同じで、経営者の質問力の差によって、現場からの引き出せる情報が大きく変わってくるということです。
問題解決の速度を速く…と聞くと、どうしても、声を張り上げトップダウンで指示を…ということになりがちですが、
冒頭にお伝えした通り、有無を言わせずなんでも強引に進めようとすると、反感を招き世論を敵に回しかねないことから、これからは、こうした質問力ももって、情報をとっていくといったやり方しか通用しなくなるといえます。
「なぜ、こういう問題が起きたのか?」まず、問題をきちんと特定し、「それを解決するには何が必要なのか?」といった、質問技術や、マインドをリセットしてから行う習慣が欠かせなくなってくるということです。
会社の目標に対し何があればそこに一歩近づくことが出来るのか?という実務的なレベルから問題の特定をし、そのうえで出来そうなことはなにかを確認し、一緒に、問題を解決していかなくてはならないからです。
大事なことは、こうした問題の特定を高速で行い、どう進めていけばいいのか?ということを社長をはじめ一人でも多くの方ができるようになっていくということです。
過去の慣例との決別、インフレ依存からの脱却、問題解決の高速化この3つが、来期飛躍のためのキーワードになってくるといえるでしょう。
さあ、貴社では、まだ、過去しがらみとインフレ依存に時間とお金をかけ続けますか?それとも、組織的に収益力を高めるために、今すぐ新たな一歩を踏み出しますか?