今週の儲かる繁盛店の視点 第511話:「集めた改善要望項目をどうしてますか?」
先生、非効率な業務を止めるように言ってるんですが、どうもうまくいかなくて・・・とある企業の社長さんからのご相談です。
お話をおききすると、改善すべき項目をあつめ、作業効率が上がるように投資をしてるものの、人件費が一向に下がってこない。とのこと。
ーーーー例えば、どういったことがあるか具体的に教えていただけますか?
自動発注システムです。発注修正、品切れ確認といったコトを除けば、ほとんどが自動化になるので、かなり人件費は下がると思っていたのですが、まったく下がってこないのです。と元気のないご様子。
――――人件費が下がらないということですが、何か、心当たりはありますか?
うーん、今まで、やりたかったけど出来てないことをやっているのかもしれません。あるいは、その分、ゆったりしておしゃべりをしているかもしれません。あくまでも想像ですが…
ーーーー一度、店舗に入って、発注作業がなくなったあと、何をやっているのかを確認することはできますか? 自動発注の効果がとれていない問題が特定さえできれば、打ち手もみえてくると思いますので…とおききすると
ハイ、それくらいなら出来ます。と、表情が明るくなったので、こちらも少しほっとしました。
非効率業務改善の目的は、「投資したのに人件費が下がらない」というような氷山の一角から、様々な情報を具体化・数値化し、水面下にある問題を特定していくことです。
仮に、店舗で発注作業に関わる人が5人いて毎日一人0.5人時かかっていたとすると2,5人時/日×6日=17h ×52週で年間780人時かかっていたことになります。
これを 自動発注化することで、年間80万ほどかかっていた人件費が、かからなくなるという計算が成り立ちます。
ところが、実際、自動化された店舗を訪れてみると、以前とかわらず発注端末をもって売場の前で発注している人が大勢います。
発注という作業が無くなった代わりに、売場手直し、発注修正、清掃といった、新たな仕事がつくられ、今までと同じ人員体制でやっていたのです。
せっかく自動発注システムをいれたにもかかわらず、人に仕事が張り付いていたため、人件費は減らなかったということです。
このようなことにならないようにするには、業務改善部が中心となり、自動発注システム導入の際、発注業務中止の指示文章を店長あてに発信しておくことが必要になります。
そして、導入後は、店舗へ行き発注業務が削除されているかどうかを点検し、作業がないのに人が張り付いている状態であれば、それを是正するように指導を行います。
具体的には、作業のある時間帯に勤務時間を変更や、時間を短縮してもらうといった契約変更をすることで、人件費ははじめて下がってくるものだからです。
このように、非効率業務改善は企画から着地まで確認することが多々あるため、一つの案件に、1カ月~3カ月かかることも珍しくなく、中には一年以上結果が出るまでかかるものもあるため、業務改善活動には人手がかかるということです。
こういいますと、うちは店舗数が少ないし、業務改善部など作る余裕はない、やったとしても兼任が精一杯、という声が聞こえてきそうですが…
たしかに、中小小売チェーン企業の組織は縦割が多く、このように、横断的に活動し結果を作り出していくことに難色を示される経営者の方が多いのも事実です。
もちろん、各社、お考えがあるのでそれをどうこういうつりはありません、しかし、人口が増え、何をやっても売れた10年前と環境は全く変わりました。
加速する少子高齢化の環境で、同じ組織体制で…というのはどう考えても無理なのは、火を見るよりも明らかだということです。どんなにすばらしい最新システムであっても、使いこなせる人がいなければ、成果を上げることはできません。
これから、企業として本気で人件費をさげていかれたいというのであれば、好むと好まざるにかかわらず、こういった業務改善部の設置は、必須になってくるということです。
まもなく、新しい期がはじまります、ここで、あなたにお願いしたいことは一点。非効率業務改善で、解決する力をもつ人間を何人増やすことができるか?について、何か一つ考えみてください。きっと、貴社にとって、新たな成長の芽が見つかるはずです。
頑張りましょう!応援しています。