今週の儲かる繁盛店の視点 第523話:「買い上げ点数の変化に対応した店舗オペレーションになっていますか?」
先生、買い上げ点数の変化は?人時売上で、どういったことに注意すればいいのでしょうか?
少し前に、ご支援がスタートした企業の社長さんからのご相談です。
――――具体的に教えていただけますか?
インフレ値上げで、売上は上がっても、買い上げ点数が減っている。とのこと。
おっしゃる通り、買い上げ点数が減るということは、品出し作業量も変わってきます。
伊藤は、作業指示書を作成する際は、「日々の納品数量を必ず確認し、人時数を調整してください」と、日頃から口を酸っぱくして申しあげてます。
特に、ここ数年、値上げによる節約意識から、毎年買い上げ点数は減る傾向にあります。売上はかわらずとも、2か年比で見ると買い上げ点数では二けた近く下がった店舗もあるからです。
もし、品出し等の作業量が減っているのに、日々人時が修正されていなければ、不必要な出費になっている可能性があるからです。
「今までの作業割当には、そういうふうになっていない」とのことから
まずは、納品数に対応できるレイバーススケジュール、そういったものに切り換える必要があるということです。
作業量が減っているのに、いままでどおり時間をかけつづければ、コストアップになってしまうからです。
「そのくらいの僅かな数値・・・誤差のうち」という声が聞こえてきそうですが
侮っていると、知らず知らずのうちに人件費増加になってきている可能性があります。
例えば、年商15億規模の店舗が多いスーパーマーケットチェーンの場合、おおよそ1店あたり日に700ケースの荷物が入荷します。
仮に、一ケースあたりにかかる品出し時間を1分とすると、一日700÷60=11.6人時が必要になります。
年間納品日数を300とすると11.6×300日=3480人時で、時給1000円として年間の品出しにかかる人件費は1店当たり約400万円になります。
もし、買い上げ点数が5%減っていた場合、本来であれば20万円くらい品出しコストが下がっていたことになります。
そんな、僅かなこと・・・と思うなかれ、まず、今すぐ、納品数量を確認してみる価値は十分あるということです。
10店舗あれば200万円、30店舗ある企業なら600万円もの、払わなくてもいいお金を支払ってしまっていた可能性があるからです。
さらに、この5%差は、作業の速度だけでなく、一人一人働き方にも良くない影響を及ぼします。
仕事の遅い人は、その分作業速度は遅くなり、間延びするであろうことは、誰でも想像がつくかと思います。
では、仕事が速くテキパキとやってくれる人にとっては、どうでしょうか?
仕事が速い人の場合、わずかな時間でも手持ち時間をなくそうとします。そのため、空いた時間に「何か別の仕事」を進んでやろうとします。
問題は、この「別の仕事」とは一体何なのかということです。
その仕事が利益に結び付くかどうか、店長さんが確認できるしくみなっていますか?ということです。
よくあるのが、手が空いてしまったときに指示される、売場手直し、清掃などがそれに該当します。
しかし、時間が空いたからと言って、作業指示書上に載っていない作業をやらせたり、自己判断してやってしまうと、人時はみるみる増えます。このまま放置し、数カ月たち、あれ?おかしい?と気づいてからでは後の祭りだからです。
特に、今月は、賃上げ差額2か月分が支給される月。そういった数値が一緒くたになって増額分がみえにくいことから、見落とされがちです。
こういったことを避けたいのでしたら、まずは、各店の納品数量の増減点検を、今すぐやってみていただくことをお薦めします。
詳しくは、弊社セミナーをご活用ください。