今週の儲かる繁盛店の視点 第528話:「売上減でも人時生産性が上がり続ける企業になるには・・・」
先生、「ムダなことは今すぐ止めてもいい!」っていってるんですが、中々やめないんです。
それだけじゃない。人時生産性の会議でも数値結果だけ出してきて、何ひとつ改善案が出てこないんですよ。
気づけば、売上は昨年対比割れになるし、人件費は賃上げで膨れ上がるし、競合は出店してくるはで、「二年間いったいなにやってたんだ!」と思わず怒ってしまったんです。
少し前に個別相談にお見えになった社長さんからのご相談です。
お話をお聞きすると、値上げで売上が順調のうちに、人時生産性プロジェクトを立ち上げ、将来に備えていくつもりだったそうです。
しかし、いくら言っても、目先の販促や商品の事ばかりで、肝心の人時について何も進んでいかない。とのこと。
――――プロジェクトでやってきたことについて教えていだだけますか?
ウチは人時については、全くやったことなかったので、まず、数値を出すようにして目標を立てることから始めました。
しかし、それを、どうやって改善し達成していくのか?は、役員が自分たちで考えるということでしたので任せておいたら、この二年間何も進んでなかったんです。
数値は計算すればわかることですし、最初は、出来るとこまでは自分たちでやって、それから外部の専門機関にはいってもらってからでも遅くはないと思ってたんです。
ところが、年度計でみると、変わっていないどころか悪化していて「あれ?何してたんだ!」と、なったわけです。このときの気持ちお分かりになりますよね?
ここまで、一気にお話しされ、すこしホットっされた表情が見て受けとることができます。
――――よくそこまで頑張ってこられましたね。まずは、ねぎらいの言葉をかけさせていただきました。
何度言ったらわかるんだ!。といった社長のことばは、ご自身に対しての出来ない悔しさです。
社員の視点で、自社の数値だけ見てれば、営業利益1割減で予算未達で終わる程度のことかもしれません。
しかし、客観的に見れば、営業増益1割増している企業との差は倍になるため、こういった悔しさは社長にしか分からないものです。
中身についても、成果を生まない社内会議1時間かけて毎月やるくらいなら、外部知見を借りた会議に切り換え毎月結果を出していくということも、社長にしかわからないことであり、そこに、気づくのが遅かったのは自分の責任と強く感じておられるからです。
ビジネスは速く結果を出したものが勝ちです。他社が追い付つくまで、その間、先行利益の総取りもできますし、
時間をかけ慎重に…などと、社員モチベーションに期待したやりかたをやっていれば、競合他社との差は開き、追従企業に越されみじめな思いをするだけです。
経営として、新規プロジェクトを速く確実に進めていくためには、事実に裏付けられ体系化されたものが必要です。そこに、各社がもつ情報・データを加え、何が問題なのかを明らかにします。
この最初の入口を間違えてしまうと、いつまでたっても出口が見つからず、ゴールにたどりつくことができなくなってしまうということです。
体系化とは、毎月一度やる会議では何を決めて、次回までになにをやる。その結果12か月後にはどう変わっていくのか?ということを書き示したものです。
そして、ここで最も大事なことは、最初の一カ月で、全店で「人時」について200%理解してもらえる体制を整える。ということです。
これができて、初めて、数値の出し方や店舗のムダ削減につなげることができるからです。そのステップを上がっていくことで、自社に合わせた作業指示書をどう作って運用していくのか?ということが分かれば、3年後に地域でナンバーワンの人時生産性になっていた。ということは夢ではないため、当社セミナーでは、スタート月にやるべきことを重点的にお伝えしています。
さあ、貴社では、まだ、「自分たちで出来るとこまでやってからといった進め方」にまだ時間をかけますか?それとも、今スグ、人時生産性改善のステップを駆け上がることで、地域一の人時生産性を手にしますか?
著 伊藤 稔