今週の儲かる繁盛店の視点 第536話:「なぜ、作業指示書を変えただけで利益が増えていくのか?」
先生、「ちゃんと作業割当を使ってやりなさい!」と言ってるんですが、続かないんです。セミナーに参加された、ある企業の社長さんからのご相談です。
お話をお聞きすると、少し前にある大御所の先生の指導を受け、作業割当を使い始めたそうです。
ところが、最初の1店目は、なんとかやったものの、2店目以降全く進まない。
「一体どうなっているのか?」と聞くと、SVが慌てて店に行き、その時はやるんですが、続かないのです。
今は、まだ売上が伸びているので何とかなってますが、もし、売上が下がったらこのままでは済まないと思うんです。
どうしたら、やる気になってもらえるのか? 悩んでおられるとのこと。
――――実際に拝見させていただかないとわかりませんが、過去ご支援させていただいた企業でも、同じような事例があったのでお伝えしてもよろしいでしょうか?
「はい、よろしくおねがいします」
その企業B社でも、作業割当表をつくってはみたものの、やはり、売上利益が上がらない状態が続いていました。
そこで、店舗にお伺いし、店長やパートさんにヒアリングさせていただくと、いろいろなことが分かってきたのです。
「作業割当表」を作ると聞いたとき、既に毎日やっていることなのに、わざわざ作業割当表をつくって、なぜ、売上や利益増になるのか?意味がわからなかった。といった声が出てきました。
さらに・・・
朝早くから職場に来て作業してるのに出勤が未打刻だったり、残業してるのに、退勤打刻をしないで帰宅してしまったり・・・。今だから言えるのですが、一人一人の勤務時間が正しく打刻されていないこともわかりました。
出退勤の未打刻は、残業未払い問題に直結しますし、そもそも、企業として日々の人時実績を正しく把握することが出来ません。昨日は何人時でいくら売上だったのか?わからなかったわけです。
こうした不満だらけの職場で、形だけの作業割当表を作ってその通りにやりなさいと言ったところで、所詮、無理だったということです。
しかし、このまま放置し先延ばしにすることはできないので、急遽プロジェクトを設置し、以下の手順ですすめていくことにしたのです。
まず、作業をするために十分な人が補充できていないことをお詫びします。各個人の負担が増えてることについて改善していきたいので、皆さんの協力が欲しい。という説明をから入っていきます。
次に、ワークルールを守ってもらうために、会社として人時実績結果が正しく結果が表示できるようしていきます。
人件費のもとになる人時実績を表示したことで、店長がこれなら自分たちでも人件費コントロールも出来ると、動いてくれたのが次のステップへのきっかけとなりました。
この人時実績の前で店長に売場長ミーティングを毎日実施してもらうことで、少しずつ会社への「信頼感」を取り戻していったのです。
信用できる数値結果(人時実績)が毎日表示することができれば、頑張ったや個人チームを賞賛することができます。
褒められて、嫌な気持ちになる人はいませんから、ひとりひとりが「やってみよう」という機運も徐々にがあがりはじめました。
人時売上の結果が変わりはじめ、業績改善に店長の意識が向くようになり良いスパイラルへ繋げることが出来そこから、人時作業指示書に取り掛かったということです。
何でもそうですが、新しく何かを始める時、このように店舗で働く方々の意見を尊重することが大事であるということです。人時売上を上げも同じで、このプロセスを通したことで、日々の利益を20%以上改善し、3年後に過去最高益を手にすることが出来たのです。
詳しくは、セミナーでお伝えしていますが、
上手くいかない方法を何回くりかえしても、上手くいくことはありません。間違った方向に気づかず進み続ければB社のように手遅れになり遠回りを余儀なくされるからです。
この結果を変えたいのであれば、今すぐ、何が問題なのかを特定することから始めてください。
さあ、貴社ではまだ、結果の出ない作業割当を信じてやり続けますか?それとも、社員の心を掴む人時作業指示書で、大きく飛躍しますか?
著:伊藤稔