今週の儲かる繁盛店の視点 第539話:「なぜ、今、売上前年比割れでも増益できる仕組みが必要なのか?」
「先生、これまで人時売上について、全くやったことがないのですが、それでも大丈夫でしょうか?」 少し前に セミナーに参加された社長さんからのご相談です。
お話をお聞きすると、
値上げで売上が上がった時は、利益を伸ばすことが出来たものの、
すでに値上げ効果は一巡しています。
人時売上をやるのは、売上が維持できてる今しかないと考え、人時生産性の本を購入して読み、人時生産性をテーマにしてる会社の資料を取り寄せ、協力してくれそうな会社を探されたそうです。
ところが、実際にどうやっていくのか?となると、奥が深く、意味や本質が容易に理解できず、これは、プロの話を聞きに行った方が早いと考え、弊社セミナーにお越しになられました。
セミナー参加後、社に戻り、まずは、自分たちでやってみようとされたそうです。
しかし、業務改善で問題をピックアップしても、社内常識が壁になり、何をどう改善すればいいのかわからず、再び弊社の門をたたかれ個別相談にお見えになりました。
――――今日の相談で、解決されたいことはなんですか?
今、値上げが一巡し、競合店は早くも価格を下げ始めています。ウチは日替わり均一企画を開催しているのですが、それ以外の日の売上がとれていない。
特に、最近は、天候不順が多く、台風や雪が日替わり均一に重なると、人件費アップ要因になっていることも問題になっています。
売上日割り予算はありますが、人員だとか人件費の日割指標をどう決めればいいのかまずそれをお聞きしたいのです。
――――日替わり均一企画の日にどれくらいの出勤体制をとるべきか?基準を作って人件費をコントロールできるようにしたいということでしょうか?
はい、そうです、今は、店によって売上の高い日に人が偏り、他の日が手薄になって、売上をおとしているのではないかということです。
おっしゃる通りで、かつて、人口が増えていた2008年ごろまでは、団塊世代が多く、雨が降っても翌日にも買い物にきてくれるお客さんがいたので日替わり企画もそれなりに売れていました。
しかし、人口減少が始まり15年が経ち、団塊世代が高齢化し、一人で買い物にいけなくなったことから、日替わり企画も次第に売れなくなっていきました。
今は、その世代に代わって、団塊世代のお子さん夫婦(40~50代)が主流の客層となりました。
夫婦層として変わりはないのですが、これまでとの違いは、専業から有職へとライフスタイルが変わったということです。
毎日仕事があり、日替わり均一の日に買い物にいくことが出来ない、また、仕事帰りに、お店に立寄っても、夕方のスーパーは品切れが多く必要なものを買うことが出来ない。という悩みを抱えているということです。
ご自身の会社の時間帯別売上を見ていただければお分かりになると思いますが、お昼の時間帯を上回る客数が夕方の時間に増えているということです。
欲しいものが欲しい時に買える店舗コンディションをいかに提供出来るか否かが企業の勝敗を分けると言っても過言ではない。ということです。
その証拠に、ディスカウント店やドラッグストアのように、いつでも価格が安い業態の方が圧倒的に売上を伸ばしています。
「うちの会社は日替わり企画が目玉だからやめる訳にはいかない…」という声が聞こえてきそうですが
――――日替わり企画がダメというコトではありません。
大事なことは、日替わり企画の有無にかかわらず、営業時間中は、品切れのないように、レジでお待たせしないようにしておく。ということです。
店舗でベストコンディションを作りだしていくためには、ベストを作り出すKPI(数値目標)が不可欠です。例えば、日々の人時予算、人時売上、品切れ、レジ待ち、価格間違い等が、だれが見てもわかるように数値として提示されることが前提になります。
こういったデータが揃うとどこから改善していけばいいのかピンポイントでわかることができます。
例えば、前出の企業の場合
すでに減少しているターゲット市場ではなく、これから増えるターゲット市場対応していく武器があれば、無駄なく無理なく売上も上げることはできます。
そういう意味では、売上がとれるとこに人を再配分する人時売上は、必要不可欠で、売上減少問題を解決していく、特効薬といえるでしょう。
さあ、貴社ではまだ、消滅していく市場で売上を狙う方法にこだわり続けますか?
それとも市場の変化に目を向け、店長が自ら進んで動ける仕組みづくりで成功を手にしますか?
次に成功するのはあなたの企業の番です。
著:伊藤 稔