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今週の儲かる繁盛店の視点 第542話:「自ら収益構造を変えることが出来ない企業の行く末は?」

先生、余裕のあるうちに、もっと収益構造を強化しておきたいのです。

少し前にセミナーに参加された SM企業の社長さんからのご相談です。

お話をお聞きすると

うちの場合、売上利益を増やすのは新店しかないんです。でも、コストが上がっているので、その方法も儲からなくなってきてます。

ここ一年ぐらい、値上げや米騒動もあって、売上は上がりましたが、今後、売上がが伸びなくなれば、厳しくなるのは時間の問題です。

今から、売上が下ブレしても、利益増になるように、人件費コントロールが出来るようにしたいのです。

――――今日、最も解決されたいことはなんでしょうか?

先生の本、「時給2000円払っても営業利益10%を出せる収益モデルの作り方」の中に、人に仕事をつけるのではなく、仕事に人をつける。とでていますが、

うちの場合、特定の人にしかできない仕事が多いため、それが中々出来ていないんです。

例えば、

お昼の時間帯に、レジでお客さんが並んでいても、売場から即レジ応援にはいれるようなレジ教育をやってない。とか、

また、啓蒙活動として毎日15時から「クリーンタイム」といった一斉清掃タイムを設けているのですが、そもそも、その時間帯にそんなに人が集まってやるのがいいことなのか? といったことを考えると、

無駄なく人を活用し生産性をあげていくには、どうすべきか?

といったことを知りたいし、もっともっと勉強して自社でやってみたいのです。

――――わかりました。そういうことであれば、説明させていただきますね。

今、問題となってるように、人に仕事が付いていると、店全体を俯瞰することが出来ず、特定の部門に無理がかかっていたり、仕事のないのに人が配置され手待ち発生しても発見することができません。

そして、それが続くと、レジでお客様をお待たせたり、売場では品切れが起こり、店舗コンディションが悪化していきます。

なぜ、このようなことが起きるのか?と申しますと、店ごとの必要人時計画表がない為、柔軟に、人を動かすことができないからです。

しかし、そのためには、どういう作業があるのかを全て調べ、現状の一日の作業のフローが揃っていることが前提であり、これをつくるには時間もかかってきます。

時間をかけて、現状の一日の作業のフローが揃えば、ここから店全体のオペレーションを俯瞰することができようになります。

しかし、カタチが人時作業指示書と似ているためか、多くの企業が、これそのものを作業指示書と勘違いし、使ってみたものの、人件費コストが下がらないと言っては、使うこと諦めてしまいます。

なぜ、人件費コストは下がらないのか?

理由はシンプルです。

この一日の作業のフローの中には、ムダも一緒くたに含まれているからです。

つまり、この一日の作業フローから、ムダ=「非効率業務」をみつけて、それを取り除いたものが、正規の人時作業計画書のとなるからです。

「非効率業務」というのは、やる量が多くてやるのに手間がかかっている作業やミスが繰り返されている作業の点検だったり、昔からやってるが環境が変わり形骸化したもののことを言います。

「非効率業務」を改善する(例えば、止める、簡素化する、統合化する)ことによって店舗の作業量を減らしていくわけです。

ところが、前出のクリーンタイムのようなものは、創業時からやり続けている啓蒙活動であることから、社長といえども簡単に「止める」という判断はし難いものです。

そこで、我々が店舗従業員の方にヒアリングしたり、時間計測をやってコストがどのくらいかかっているのかを明らかにしていきます。

店舗従業員の方から出てきた声の中には

「クリーンタイムには、多忙な人がでていて、そのため残業で自分の業務をこなしている」とか

「厨房作業の途中でクリーンタイムが入ると、作業効率が下がる」とか

「全売場一斉でやるのではなく、各々の売場が汚れるタイミングでやった方が効果的」といった建設的な意見が出てきました。

さらに、必要人時を測ると、一回の時間はわずか15分ですが、各売場2名出るので0.5人時×5売場=2.5人時/日かかっていることも見えてきました。

一年365日では912人時、時給千円換算とすると、1店舗当たり年間約90万円の人件費が、かかっており、決して安くはないことも共有することができました。

すると、社長から

「創業時よりやってきたクリーンタイムだが、これを機に、清掃は各売場に委任する。また、削減できた人時の一部をレジの混雑対応に再配分したいと考えるが、プロジェクトメンバーの意見はどうか聞きたい」という意見が出されました。

プロジェクトミーティング会場は、一瞬、シーンと静まり返りました。

これまで誰も触れることが出来なかった問題が、社長の口からはじめて出たからです。しかしすぐに審議は再開されました。

その結果、人件費改善のためだけてなく、レジ支援体制問題と、作業効率改善というテーマについても討議が行われ、解決に向け一気に動き始めたのです。

このような、非効率業務は、どの企業にも必ずあるものです。

しかし、中には、社長ですらも、言い出しにくいデリケートなこともあるため、ひとつずつ知恵の輪を解いていくかように進めていきます。

そして、クライアント企業とって最高の業務改善結果がだせるようなにプランを一緒になって作り上げていくわけです。

こういった非効率業務が、いくつ発見・改善できるかによって、店の利益率の桁がひと桁が変わってくるからです。

仮に、一項目で年間50万円分の非効率業務が20個発見できれば、一年で1000万円の利益改善のチャンスがあるわけで、実現出来れば利益としてそっくり残ります。

年内中に、こういった取り組みスタートすることで、2025年から始まる、小売チェーン売上減&コスト上昇による利益逼迫問題を、楽に乗り越えることが出来るということです。

多少、売上が下がったとしても、今すぐ、業務改革プロジェクトを立ち上げ、非効率業務改善に実行着手すれば、あとは、結果がでるのを待つだけです。

そして、2025年期末には、それが大きな果実となって収穫することができるということです。

さあ、貴社ではまだ、売上だけに頼った脆い利益計画のままで進みますか? それとも、売上の他に収益を上げる仕組みで他社と大きく差を拡げますか?

つぎに、成功を手にするには あなたの番です。

著:伊藤 稔


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