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今週の儲かる繁盛店の視点 第545話:「賃上げすると利益が減ってしまう企業の行きつく先は?」

「先生 昨年から今年の初めまでは良かったんです。半期が過ぎて結果を見たらまさかの減益。このままだと、今までの貯金をはたいてしまいそうです」

先日セミナーに御参加いただいた とあるSM企業の社長さんからのご相談です。

――――具体的に教えていただけますか?

期首までは、値上げの影響もあり売上は良かったんです。そこからの賃上げですから、生活者の購買意欲も上がり、売上も伸びてくものと思っていました。

ところが、実質賃金のマイナス状態が続き売上は鈍化。

価格引き下げやポイント倍増で売上は維持してきましたが、経費増をカバーできず、第2四半期では増収減益となってしまいました。

このままいくと、決算で減収減益になってしまいそうなんです。

実は、今回の賃上げで人件費が6%も上がっていて、今後、人時数を1割は減らさなくてはと思ってます。やみくもにやると、店がまわらなくなってしまうことから、手つかずのままになっています。

今は、システム会社の作業割当表などを入れて試験的に作らせているんですが、それも途中段階でうまく機能できていません。

プロジェクトとして店舗作業がどのようになっているのかを調査し、同時に業務改善を回すことができる人材育成が先決なのではと思っています

――――この中で、特に解決されたいことはなんですか?

遅ればせながら、今後も賃上げは続く、ということにようやく気づいたので、賃上げをしても人件費が増えないように手を打っていかなくてはいといけないと思っています。そこについて教えていただければと思っています。

――――おっしゃる通り、実際の作業がどうなっているのかを調査し、調査結果を取りまとめていくことも大切です。

しかし、調べてまとめるだけではだめです。とはっきり申し上げています。

何かを調べて、それをシステム的に作業割当に置き換えても、何一つ問題解決にはならないからです。

そういった作業の中には、やりきれない量の本部指示が放置され利益損失してしまっているものがあったり、

本部から出された指示業務に多く時間をとられ、品出し遅延や、お客様をレジで並ばせたり、といった店舗コンディションを改善していくことが目的だからです。

さらに大事なことは、調査結果から浮き彫りになったムダ削減で生み出した資金を、店舗コンディション改善に投資することで、2倍3倍の利益創出をしていくということです。

仮に、年商15憶の店で、人件費が2億かかっているとしたら、そのうちの10%のムダ業務が無くなったとすると2000万円です。

そのお金の一部を店舗コンディションに再投資し、レバレッジをかけていくということです。

例えば、人手のかかる販促強化を減らし、そこでかかっていたコストの一部を遅延している商品棚替えなどに充当するのもそのひとつです。

タイムリーに実行される商品棚替えは、品切れを防止と売場の鮮度になるため、売上粗利のが大きく変わってきます。

また、品出し遅延問題の解決には、24時間業務として深夜に移行させることで、ムリなく開店時100%品出し完了を実現することができます。これによって、午前中の売上アップを365日可能にしてくれます。

労働人口が毎年減少する中、どの時間帯に何をやるのがベストなのか、業界として見直していかないかぎり、人手不足は解消できません。

1日の最大時間である24時間をどう使えば、店舗コンディションを改善できるか?を考え、競合他社よりも毎日の立ち上げを早く出来るかどうかが、勝敗の分かれ目になるということです。

実際に、そういったプロジェクト活動を推進されている企業では、30年近くやり続けられてきた店舗作業スケジュールを全面見直しし、既に大きな成果を手にされています。

各社、お考えがあるのでどうこう言うつもりはありません。

それでも

「24時間で考える?そんなことできるわけない」という企業は、一度徹底的に、自社の店舗作業について、調べてみる価値があるということです。

そこには、大きな宝が眠っているかもしれないからです。

さあ、貴社では、まだ、賃上げしたら人件費が増える旧態依然の作業スケジュールをやり続けますか?

それとも、徹底的に、自社の店舗運営を調査し、店舗コンディションアップによる利益最大化を可能にする企業経営を実現しますか?

著:伊藤 稔


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