今週の儲かる繁盛店の視点 第547話:「なぜ、社員が考えないと嘆くのか?そこにこだわり続けようとする企業のいく末は?」
先生、うちは販促が多すぎるんです。一つひとつの効果検証せず、売上によさそうなものを過去どんどん増やしてきて、その効果はどうか?ときくと、どれも、曖昧。でもやめると、売上が落ちるかもしれないので、そこで議論が終わってしまうんです。
とあるスーパーマーケット企業の社長さんからのご相談です。
お話をお聞きすると、10年前に社長を引き継ぎ、中身をみたら、とんでもない赤字企業状態。なんとかしなくてはと、必死にトップダウンでやってこられたそうです。
何とか利益がでるようになり借金もなくしたのですが、私がワンマンでどんどん決めてきたこともあって、指示待ちの社員が多くなってしまったんです。
特に、問題になっているのは、「人時売上」でして、ひとりひとりの販売力を上げるといったやり方は私自身もわかっていなので、指示が出せていないんです。
そのやり方を教えていただきながら、社員たちが自ら考えるようになって欲しいのです。
――――なぜ、「人時売上が必要?」と思われたのでしょうか?
私が会社を引き継いだときは、競合出店で確かに厳しかったわけですが、それでも客数は、前年を維持できていました。
しかし、今は、競合が出店してきるわけでもないのに、客数は毎年減っています。ここ1~2年のインフレで多少売上は伸びていますが、客数は相変わらず減っています。
客数を増やすために、販促強化 カテゴリー割引やクーポン、ポイント倍増いろいろなことをやってきましたが、コストが膨らむだけで効果は曖昧な状況です。それを猛省し、昨年は人件費を見直していくための、生産性改善プロジェクトも立ち上げました。
しかし、正直申し上げて、私自身、生産性改善の理論みたいなことは多少は知っていても、それを やっていくためにはノウハウがありません。
ですから、それが、合ってるかどうかがわからないので自信がもてず前に進めないのです。
――――本日、解決されたいのは、スーパーマーケット企業の御社で人時生産性を上げるノウハウを、社員さんをどう巻き込んでアップさせていくやり方について一緒に考えるということでよろしいですか?
「ハイ、よろしくお願いします」
ーーーー会社の経費でもっとも大きな人件費を動かすには、二つの重要なポイントあります。
一つ目には、プロジェクトメンバーの人選で、現場の問題点を良くわかっていて、数値に強い。そういった人材を人選してください。と申し上げています。
利益改善に結び付く問題点を出来るだけ多く見つけ出し、その中から確実に実行できる選択を早急に行っていかなくてはならないからです。
二つ目に、人時売上の管理方法を社内で徹底していくということです。目標達成するためのKPI(重要業績評価指標)が何なのか?それは、どうやって進捗管理していけばいいのか?
言葉にすれば簡単ですが、この二つを社内で徹底することが出来ませんと、人件費を動かし活用していくことは出来ないからです。
注意しなくてはならないのは、人時に着手しようとしますと「リストラが始まるそうだけど、これ以上何を削れというのか」とか「その分売上対策のプロジェクトを組んだ方がいいのでは?」とか「売上対策のない人件費削減ばかりだと縮小均衡になってしまうのでは?」という声が必ず出てきます。
そういったネガティブな声を、プラスに転換していくには、人時売上改善で成果が出るという考えを丁寧に伝えていく人材と成果の見える数値管理が有効な手立てになってくるからです。
現状のように、売上に偏った経営だけですと、利益の出なかった場合、翌年は賃上げや投資ができなくなり、顧客満足度、従業員士気に大きく影響します。
その先には、客数減少、売上ダウンの落とし穴があるということです。
人時売上改善はそういった落とし穴を避けるための重要戦略になるということです。
ここで取り組んでいくことは、現状把握(人時売上)→問題抽出(非効率業務洗い出し)→具体的対策(作業指示書での施策の設定)といういたってシンプルなものです。
人時数値を出せるようにして、非効率作業を見つけ改善していく、そこからさらに改善していくべきことを作業指示書から見つけ翌年に繋げていく。
つまり、経営目標を確実に達成していくのに重要指標は「非効率業務の洗い出し」ということになります。
伊藤が非効率業務改善こそが人件費を動かすのに最も重要な指標と口を酸っぱくして申し上げるのはこういった理由からです。
ここをやらずに、売上ばかりに目が行く企業は、成長するための原資が毎年作れないため客数も売上も利益も安定しないのです。
次に、ここに社員どう巻き込んでいくか?ということですが…
利益結果を追い求める社長と、売上アップで評価される社員の違いで、御社だけでなく多くの企業で同じような問題が起こっています。
そのため、考えない社員が多い、そのための幹部教育に苦労される企業が後を絶ちません。
なので、経営としてここの考え方から変えていく必要があります。
例えば、幹部に業務改善策を一から作らせるのではなく、そのやり方を根本的に変えてみるといったことです。
具体的には、毎日この数値とここの数値だけみればいい、他はおまけみたいなもの、といったように、
物理的に、強制的に毎日見るもの=自分の成績がわかるものを徹底的に絞ってあげて、それだけを見て管理する。ように変えていくということです。
断っておきますが、御社の社員さんをバカにしているわけではありません。
単純に社員が何を見ているのか?何を自分のゴールと思っているのか?その視点の違いは変えることができないものだからです。
だから、我々経営者は、たとえ視点が違ってもみんなで一緒に作った成果を分かち合う、そういった仕組みづくりが必要なのです。
それに、すこしでも近づくように、人時売上管理法や非効率作業改善発見シート等を用意し講座内で提供している次第です。
もし、このコラムをお読みの方で同じような悩みを抱えておられるようでしたら、出来るだけ早く「視点は違えど、ちゃんと回る仕組み」作りに着手されたほうがいいと申し上げております。
今日お話しした内容は、セミナーや店長講座の中で徹底的にやっていきます。
ですから、人時売上を自社のものにして、突き抜けたいと思う方はこの機会にお申し込みください。
詳しくは こちら…
著:伊藤 稔