今週の儲かる繁盛店の視点 第548話:「人時活用で成果が出せる企業と出ない企業の違いとは?」
「先生、今の人件費の上昇を考えると、もっと売上を上げなくてはならないんです」セミナーに参加されたあるチェーン企業の社長さんからのご相談です。
お話をお伺いすると、今、追い込みでやってる、ポイント倍増やカテゴリー割引、日替わり企画の売上がそれほど伸びていない。
このままいくと、来期は賃上げをカバーできなくなる可能性が高く、今から人時をどう活用すればいいのか教えて欲しいとのこと。
――――売上アップに期待できない分、人時について基本的なことからやっていきたい。ということであっていますか?
「はい、そうです」
人時を使いながら売上をあげ、それを組織的にできるようにし成長発展させていきたい。というのは、多くのチェーン企業の社長さんの夢でもあります。
ところが、人時ひとつとっても、それを 社内に浸透させるのは簡単なことではないですし、その後の継続的な努力も必要です。
一店舗できたら後は簡単にできて自動的に儲かっていく…というほど甘くもありません。
そのため「人時が大事」と誰もが分かっていても、躊躇して手を出すことが出来なかったり、スタートしても上手くいかず途中で挫折する企業が後を絶たないのです。
毎年確実に成果を出せるようになるには、人時作業指示書の準備が必須で、そこでは社長ご自身の改革指導力も試されます。
しかし、この苦難を乗り越え、5年10年と会社を成長させ続けたいと、かたく決意されてる社長さんにとっては、失敗は成功のもとであるかを楽しむかのごとく、社員と一緒に施策をつくり次々と問題をクリアされていきます。
そういう意味では、基本をしっかり押さえ、確実にすすめていくことさえできれば、企業規模や経営者としてのキャリア年数に関わらず、必ず実現できるということです。
なによりも有利なことは、「人時」を使いこなせるようになりますと「新店のように莫大な投資をしてリスクをとる」とか「PB開発のように一種類つくったら何十カ月も在庫を抱えるリスク」といった大手チェーン成長論の呪縛から解放されます。
そもそも、人時戦略とは、店舗ごとのコストを自在にコントロールし、そこで得た原資を売上アップ策に再投資し儲かるようするものです。
小回りの利かない大手チェーンの弱点を突くシンプルな戦略であり、その気になれば全くのノーリスクで成果が得られる「超お得な施策」なのです。
但し、ここでご注意いただきたいのは、表面的なことだけをコピーして、要領よくやろうとすると、あとでしっぺ返しを食らう危険があります。
例えば、ひとつのパターンが出来たら、それをマネすればとか、データをコピぺして使いまわしする…といった発想のことですが、これをやってしまうと、多店化してく段階で再び立ち往生します。
理由は簡単で、同じチェーンの店舗であっても「各店の立ち位置」や「各店の特性」をしっかり理解せずに、表面的な型にはめようとすると、利益が増えないやり方を強要することになるからです。
チェーン企業で成長が止まるのは、このワンパターン展開を進めようとするケースが多いのですが、鋳型にはめることは、決してチェーン企業にとって、得策にならないということです。
簡単に言えば、LAドジャースの大谷選手の二刀流を真似て「同じようにやればいい」と言っても出来ないのと一緒で、そこには、「本質を押さえ、個々に応じた練習方法」を共有するといった、汎用化と工夫が重要になってくるからです。
大切なことは、企業を成長させていくために、「個店ごとの好事例にレバレッジ効かせた計画が、いくつ用意できますか?」ということです。
枠にとらわれず、顧客満足度を上げていくためのアイデアをいくつ引き出せるか?そしてそれを実行していくための導線計画の作り方や、その効果を最大限引き上げてるにはどうすればいいのか?
こうして、考え生み出されたノウハウには、企業独自の特徴が色濃く反映されるため、他社に絶対真似できないという強みになります。
このコラムをお読みの方は、これまで長年チェーン経営において、既にいろいろな取り組みをされ、良いものはすぐに取り入れてこられた熱意ある方々だと思います。
そこには、深い経験と、無形のノウハウがあります。これに、人時売上活用のノウハウを掛け合わせていくことで、人時売上を最大化することができるということです。
実際これまで、関わった多くの経営者の方も、最初はゼロからの出発ですが、途中から自社で培ったノウハウを活かせる段階になると、一気に加速し成長軌道に乗せ、利益を2倍、3倍と伸ばし、中には4倍を実現されてる方もいます。
これらは、特殊な例でもなければ、一部の企業だけにできるという話ではありません。これから取り組もうとする貴社にも必ず実践できることなのです。
詳しくは 弊社セミナーでお伝えしてますが
つぎに、この人時を使いこなし、成功を手にするのは、あなたの番だからです。さあ、がんばりましょう!応援してます。
著:伊藤 稔