今週の儲かる繁盛店の視点 第560話:「24時間営業で成功する企業と失敗する企業の違い」
「先生、うちのような店舗数の少ない企業でも24時間営業ってできますでしょうか?」個別相談にお見えになったチェーン企業の社長さんからのご相談です。
――――もちろん大丈夫です。はっきり申し上げました
実は、その昔、24時間営業をおやりになったことがあるものの、わずか一年で中止をした苦い経験があるそうです。
理由は、経費に見合った売上をとることが出来なかったということと、深夜と昼間のコミュニケーションが良くなく、この仕事はどちらがやる、やらないことで揉め、分断がおきそうになったことから、中止をされたそうです。
でもここにきて、リベンジしたいと思い、個別相談を申し込まれたとのこと。
――――なぜ、やってみたいと思われたのでしょうか?
今までの延長線上のやりかたではなく、店のポテンシャルをどこまで伸ばせるかやってみたいと考えたからです。しかし、ノウハウがないので基礎から学んでやってみようと思った次第です
おっしゃるとおり、24時間営業は小売りチェーンの力を最大限まで伸ばすことが出来ます。
お客様の多様なライフスタイルに対応できますし、競合他社が休んでいるときに営業しているわけですから優位性を確立することで売上を増やすことができるからです。
一方で、その分、人件費がかかるため、ち密な計画と効率的な運営ができるかどうかが成否ポイントになってきます。
こういったこともあり、導入は結構ハードルが高いと思われがちです。
実は、一般的な3店以上あるスーパーチェーンであれば、24時間営業導入は、それほど難しいものではありません。
昼間の混んでる時間しか見たことない人には想像もつかないと思いますが、深夜の店舗の時間帯は、昼間の営業時間をしっかり迎えるためのいわば仕込み時間です。
計画を立ててそのとおりにやってもらえればどの企業さんでも無理なくできます。
大事なことは、一店一店に導入していく際、その店の店長や、関係部署にどういった気づきを与え、成功体験をいかに多く経験してもらう場にすることができるか?ということです。
それによって、その店のポテンシャルをどこまで伸ばすことが出来るか決まってくるからです。
例えば、24時間営業で欠かせない、人時作業指示書の作成についても、業務量の少なくわかりやすいミッドナイト部分の作業指示書から作っていく方が、楽に作成できムリなく進めることもわかってきており、
こういったことが少しずつ明らかにされるようになったせいか、最近は、24時間営業をやってみたい。といったご相談が多くなっています。
先の企業が、悩まれたように深夜と昼間の業務のつなぎが上手くいかないといったことは、どこの店でも必ず起こることです。
最初は昼間のパートさんが、深夜に仕事を奪われたといった些細なコトから始まり、これを放置すると、瞬く間に昼間と深夜で人間関係がギクシャクし始めます。
不正や事故といった火種になるということです。
こういった問題を早期に特定し解決してくために、ミッドナイトツアーなるものを行っております。
ミッドナイトツアーとは、深夜の特定の時間を決めそこを社長さんと一緒に店舗視察する企画のことです。
いわば、24時間の目標達成していく現実とのギャップを埋めていくものです。
伊藤自身、前職時代、24時間営業体制を立ち上げ収益化を実現するすべてに関わってきたことから、ここは最も得意とする領域のひとつでもあります。
こういったツアーをやるときは、売上が計画をうわまわり経費は予算内に収まるようにしておき、その後も、利益が拡大していく状況を予め作っておきます。
そもそも、24時間営業をスタートさせたものの、最初から問題が山積み状態では、成功などできないからです。
具体的に人時売上目標があって現状との差をどうやって埋めていくか?その工程を、誰もがワクワクする気持ちになって、全ての関係者を巻き込みながら作り上げていく…この状況をいかに作ることが出来るか?ということです。
もし、こういった、体制がないとどういうことが起きるか?といいますと。
予定通り商品が来ても、朝までに品出しが終わらなかったり、反対に納品量が少ないと手の空いた人がでてしまった。というコトが起き、誰が悪いといった犯人捜しのようなことが至る所でおきます。
本部のサポート組織を作らず、店舗任せにすれば、店で何か起きた場合、店は陸の孤島と化します。
一連の運用状態が日々測定できるようになっていないと、どこに問題があるのか特定がすることができません。
語弊を恐れず申し上げれば、勢いで24時間はじめるのはいいけけれど、こうした事前準備がない状態で売上頼み?で上手くいく?ほど甘くはない、ということです。
そもそも、そういったことは、24時間営業をスタートさせる前に、出来ることでやっておくべきことといえます。
つまり、24時間営業の成功させることが出来るか否かは、スタート前から確定しているということです。
大手をはじめ、24時間営業を止めてるとこはたくさんあります。
各社お考えがあるのでそれをどうこう言うつもりはありませんが、そこで共通しているのは、すべて売上頼み?であるということです。
売上をとれていないのはどこに問題があるのか、きちんと特定し正しい診断をすることで、健全で収益力のある店舗状態は作りだすことが出来ます。
これは、24時間営業に限らすべてに共通することですが、24時間という一日の最大の時間を見渡し、どこで何をやるのがベストなのか?
というのは、人時売上の高い事業を成功させるには必須で、それによって生産性の高い店舗運営は初めて実現できる。ということです
さあ。貴社でも24時間という最大時間枠を通して、自社の可能性を発揮するプロジェクトに参加してみませんか? 全力で応援します。
著:伊藤 稔