今週の儲かる繁盛店の視点 第562話:「賃上げを強みにできる企業とできない企業の違い」
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「先生、今年は何とかなります。しかし、来年は相当厳しくなりそうです・・・」とご支援させていただいている企業の社長さんからのご相談です。
お話をお聞きすると、人時売上プロジェクトの取り組み実施店では、売上二桁の伸びが実現出来ててこれをもっと早く広げていきたい。
ところが、業務改善にかかわってきた本社員数名が年末に退職してしまい、成果の出せる店を増やすことが出来ない。とのこと。
最近は、大手で初任給30万以上出すといった報道があったり、IT企業などは、スキルに応じて中途採用にも力をいれてます。
社内の若手がコツコツとITスキルを勉強して、オンライン面談で内定をもらい高給与のIT企業にもっていかれることはよくあることです。
そういう意味からいうと、一律5%の賃上げだけでは不十分で、このままですと、ITなどの専門スキルをもった人材はどんどん流失していってしまうということです。
そういった技術を持った人は、そのくらいの金額を提示すれば集めることが出来る。ことが今回分かったわけですが、
そうは言っても、新入社員から育てた人材が、業種を超えて簡単に転職されてしまうのは、やはり耐えがたいもの、社長のお気持ちは大変よくわかります。
それにしても、なぜ、そういったことが起きるのでしょうか?
そもそも、「人は入れ替わる」と考えるか?それとも「人は替わらない」と考えるか?その考え方の違いで大きく変わってくるということです。
「人は替わらない」と考えれば、入社から定年までひとつのところで働くのが前提になります。
ここで、もし食い違いが起きていたとすると…
IT専門職のポストを用意したものの、突然辞められてしまい、社内のシステムがブラックボックス化して、大慌てすることなります。
一方で「人は替わるもの」ことを前提に考え、日頃、二番手、三番手を教育し、その仕事に複数人数で携わるようにしていれば、誰かひとりが辞めたとしても大丈夫だということです。
むしろ、もっと優秀な人材を採用できる…チャンスと捉えることができるわけです。
「人時作業指示書」の運用についても、同じで、二番手、三番手を早くから教育し、複数人数でできるようにすることで、店長が替わっても、利益棄損を未然に防ぐことが出来ます。
そういう意味からご指導先へは「人時作業指示書を扱える人を育成し増やしていくことは店長のKPI(重要業績評価指標)のひとつです」と口を酸っぱくして申し上げています。
「業務改善チーム」についても例外ではありません、こう言いますと
「え?」と皆さん驚かれます
業務改善チームだからこそ、人の入替を積極的に行っていきませんと、改善成果はすぐ頭打ちとなり、単年コストカットで終わってしまうからです。
なぜなら、一度作ったものを何度も見直しコストを生み出し、成長事業に投資していく、スキルが求められるからです。
これが出来ないリーダーのいる業務改善チームは、不幸にもそのリーダー自身が抵抗勢力の中心人物となってしてしまうことがあります。
オリンピック選手でも、自分の記録を塗り替えるというのは容易でないことがわかるように、誰しも自己成績を超えるのはとても難しいもの、
特に、業務改善チームのリーダーが一度、固定概念に捉われてしまうと、人時売上は全く上がらなくなります。
「無駄な作業を洗い出す」といったことひとつとっても「そのリーダーの心の中に無駄な作業をしているという認識がない」ため、社長さんも、その足踏み状態に「そこからいわないとわからないのか?」と頭を抱えられる。ということです。
――――ちなみにこのコラムをお読みの社長さんは、自分のお店の無駄な作業ってすぐいくつ思い当たりますか?
「・・・」
なので、ここでは、「これこれこういうような視点で無駄を洗い出してください、そして、それを減らす、あるいは無くすことを決め、期限を守ってやってください」と徹底していくことがポイントとなります。
そして、それができたところで、ようやく、11時間営業から24時間営業の時間拡大へとコマを進めることが出来る訳です。
大事なことは、営業時間が増えても、同じ人時でやることであって、そのためには、予め無駄な作業を減らしておかなくてはならないということです。
そして、朝の開店時までに完全品出しを終わらせておくことが絶対条件となるということです。
これ言ってみたら、新しい店舗運営モデルを導入することなので、これは本当にやり方を誰かが解ってないと成り立たないわけです。
詳しくは社長限定セミナーでお伝えしてますが、
人が替わることを前提に、業務がだれにでも出来るようになることで、あなたの会社も二桁増益の未来を目指しませんか?
著:伊藤 稔