今週の儲かる繁盛店の視点 第63話:「お客様の必要に応える会社とそうでない会社の違い」
「イトウサン、人件費は下げたいのですが、人手は足りないのです。」
—-少し前に ご相談にお見えになって、人時管理を取り組まれておられるチェーンの社長の声です。
一見、この矛盾した問題は、多くのチェーン経営者の共通の悩みでもあります。
よく、お聞きすると かつて営業時間を拡大していったものの、人件費は減らしているので、手薄の時間帯がありそうだという状況で、尋ねてこられました。
—-問題のある時間帯の光景を見たことがありますか?
「夕方とお昼は混んでる・・・それ以外はちょっと、うーん見たことありませんから」というお答え。
社員とパート社員の勤務シフトで対応する。という発想で営業時間の拡大をしますと、店舗の士気と売上は落ちるだけです。とハッキリ申し上げました。
さらに、そこで生まれた利益を新たな施策に投資しなければ単年度の効果で終わってしまいます。
表面上の売上は保っているものの、人口減の時代、今まで通りの売上を維持するための営業時間拡大では、ジリ貧になるばかりです。
作業時間を間延びさせるのではなく「この時間帯は何の業務をする時間です」と決め絞ることによって、個人の仕事が明確になり、各店の利益構造が変わってきます。
実際に調べてみると分かるのですが、例えば 金曜日の23時に売場がどういう状態にあるか その光景を見るだけで一目瞭然となります。
なぜ、こんなに、お弁当の品揃えと数が少ないのか?
なぜ、ビールやペットボトルの売場がガタガタに品切れだらけになっているのか?
なぜ、鮮魚や精肉は見切り品のシールのついた売れ残り商品ばかりなのか?
昼間とは全く違う、夜間の売場姿に驚愕するはずです。
翌日店長にヒアリングすると、うちの店は郊外店だから・・・とか。たまたま昨夜は・・・とか?。
人がいないからムリ・・・とか。言う答えがたくさん返って来ます。
店長に、この時間帯の作業スケジュール表を見せてもらうと、殆どの店が作業指示書を作成していないことが分かりました。
社長ご自身が「時間拡大しても家賃は変わらないから、上がるコストは水光熱費とレジ人件費だけ」とという甘い考えでいると十中八九こうなります。
時間拡大に併せてマーケットが変わるわけですから 昼間とは違う作業を組み込まなければなりません。
これを突き詰めていきますと、 昼の残り物を売る店ではなく、夜間のお客様に対応した売場運営の必要性が見えてきます。
例えば、残業帰りの男性サラリーマンに対しては、少量のお刺身のお造りや、出来立てのお弁当やおかず。
また、残業帰りのOLに対しては豊富なデザートや果物。
といった品揃えが必要になります。
コンビ二には真似できない素晴らしい店舗機能を持ちながら、仕組みが無いため稼ぎ損ねているのが実情です。
ここで、問題になるのは、昼の対応でいっぱいなのに、夕方から商品をつくる人数などいない!という声への説明対応です。
実際に一日作業の流れをつくり、そこに人時を割り当ててみると分かるのですが、荷受、加工、品だし、価格変更、発注作業を入れていくと大半が午前中に集中してました。
良く見ていくと、その時間に必ずしもやらなければならない仕事ばかりではないことが見えてきます。
POPの準備は前日できるし、発注作業はお昼の売上状況を見てからのほうが精度が上がるし、どの時間帯に作業を組み込めば効率的にできるか見えてくるようになるのです。
これを、個人任せにしてると「自分のやり方でやったほうが気が済む」「一区切りつくとこまでやったら終わりにしよう!」となり作業効率は改善しません。
なぜ、こうなるのか?理由はただ1つ、「やるべき業務の実施時間をはっきりと決めていないこと」と申し上げております。
業務ごとの実施時間さえ決まっていれば、時間が余っているからといって、わざわざ余計な仕事をやらなくて済むようになります。
営業機会の拡大で利益を増やし続けるには、従来の個人任せの仕事のやり方から、個人が力を発揮できる仕組みを作ることです
大事なことは、営業機会を拡大する際に 稼げるはずの利益をどのくらい毀損しているのか?という仮説を立てることです。
そして、作業指示書を作り業務時間を明確にしていくことが、売上利益確保の鍵となります。
さて、貴社では、「営業機会の拡大後の作業指示」どのように示されておられますか?
今日も 最後までお読みいただきありがとうございました。
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