今週の儲かる繁盛店の視点 Vol.23「商品価値の伝え方で成長する会社とできない会社の違い」
第23話:「商品価値の伝え方で成長する会社とできない会社の違い」
最近お問合せで多いのが、「売り込み商品の設定はどこが決めれば良いのでしょうか?」というご質問です。
—-売り込み商品は店舗毎で決めていきます。そのしくみである手順や基準、売り方は本部で設定します。
売り込み商品を店舗で決める理由として、お客様の最も近くにあるのが店舗であり、その情報を持たない商品部の考えだけでは売上最大化が図れないからです。
但し、勇み足でおやりになると95%の確率で上手くいきません!とはっきり申し上げてます。
これは前職の実績をもとに算出してるのですが、見方を変えると、5%の店舗ではこのようなやり方を求めている前向き派の店長がいるということです。
速やかに導入をしていくには、この少数派の前向き店長の店から理想モデル店を設定して、上手く回るようになったら2店目、3店目と拡大していきます。
そこからの情報源を基として収集しながら、商品部は各店に対応できるように品揃えや棚割り配分を修正していくのです。
全店に波及させるためには、このような商品部とそのしくみを作る店舗運営本部での周到な準備が必要となります。
店舗での売り込み商品の設定方法は、
①月間売上高上位アイテムの中で、利益率の高いアイテムを選定。
②日替わり商品や頻繁に特売の対象となるような価格変動のアイテムは除外。
③このアイテムの売上実績は担当推進者リーダーの業績とする。
④リーダーは目標販売数量を設定し月次/週間計画表を作成掲示する。
⑤各担当は商品ごとの宣伝文案を考え、文章化、売場づくり、POP表示、売場演出、販売トレーニングの実施。
⑥リーダーは週間実績を表示、情報の可視化と共有化し店長は月間販売実績上位者の表彰を実施。
大事なことは、この商品設定手順を店長が宣言をし毎週の進捗確認をし、販売方法について問題が発生した際には 最優先でその改善支援を行うことです。
販売に引き当てる人時を売上に変換させていく為には、各人が時間内に販売作業が完結できるように技術を身につけ、店長は最大実績を引き出す体制を作らなければなりません。
接客販売にしても、セルフ販売にしても、商品陳列や売場POP、商品説明ツールが整っていなければ、十分な売り込みは出来ません。
このような前作業を最短でできるようにスケジュールと必要人時をしっかり決めておかないと、販売業務に人時が廻らなくなり殆ど出来なくなることが頻繁におきます。
人件費は湯水のごとくあるわけではありませんから、販売に関わる前作業と後作業は標準化することは極めて重要なことです。
販売業務にかかる時間を把握することにより、スケジュールモデルを策定していくことが必要条件となります。
かつては、どこのチェーンでも一度は、重点商品とか売り込み商品に対する取り組みはやられておられると思います。
その手法は、商品部が主体となり、商品を設定し店舗運営本部も一緒になってそれの売上を上げようという一方通行的なやり方でした。
ここで申し上げてるのは、店舗毎の特性にあわせ、仕入れ部が蓄積するべき情報を店舗から毎回連繋させていくという流れとなります。
特に、今現在 店舗で扱いの無い商品で 売れる可能性のある商品をいち早くキャッチするにはこの方法が最も効果的といえます。
その店舗業務の流れは・・・、商品選定、販売計画を立てる、販売目標、販売場所、作業時間・スケジュール設定、発注、納品、商品陳列、売場演出、宣伝販売、(お客様の声→商品部連繋)レジ会計、実績表示、週間実績共有、月間実績共有、表彰 次月計画。
といった多岐にわたります。
これだけの作業を店舗でやるわけですから、必要人時を用意しつつ、それ以上の売上数値を取りにいくということを課しておかないと人件費の垂れ流しになってしまうわけです。
どんなに、優れた仕組みで動かしても、販売業務とその売上実績の関係が結果が形となって出てこないと、続かず途中で途切れてしまいます。
結果も数値だけではなく、一瞬でわかる色別化にします。目標値達成アイテムは青色、未達成は赤色です。
これを、「実績数値」でだけで 指示して、「数値が悪いので頑張って売れ!」とか「なんで指示通りやらないのか?」とかこういうことを100万回言い続けても現場は何も変わりません。
ところが、色別実績表という活動結果を形にしただけで、色ならば見た瞬間に分かる。
さらに本人ではなくやった業務の評価になるので、自分の作業結果として客観的に見ることができるようになるのです。
誰でも自分自身を変えるのは難しいですが、仕事の中身のやり方手順を変えるのは意外に容易にできるものなのです。
見える化とか可視化とかの最大メリットは、個人の問題を業務の作業問題に置き換えてやるから、その部分を抽出して修正することができるという点です。
商品アイテム実績結果が毎週決まった時刻に表示されますと、決まった場所に集まるようになりそこでコミュニケーションが発生します。
すると「あなたの担当の商品どうやって売ってるの?」「うちはこうやってお薦めしてる」と売れてる売場を従業員間でお互い見に行くようになります。
当然、店長としても朝昼晩のミィーティングでこの話題を取り上げるわけですから益々この実績表の前に人が集まるようになるわけです。
スタートし始めの頃は、真っ赤なシールばかりであった一覧表も 月半ばになると少しずつ青色が増えていき、月末になると赤シールのほうが少なくなり何もやらないチームがはっきりと目立つようになります。
出来るチームを引き上げることではなく、やらないチームをやるように仕向けることが、店舗力を底上げの原動力となります。
元トヨタ副社長 大野耐一氏は、購入した道具や機械は取り扱い説明書通りに使ったらぶっ飛ばされる、もう一ひねりして別に応用できないか!その効用を考えよ
と言って用具一つにも使い方の付加価値を求めていて、それがトヨタの業務改善の起点となったと言われてます。
ただ商品を売るのではなく購入代行者となり、ひとひねりもふたひねりもした新しい使い方を発見することこそが購買意欲を引き起こすことに繋がります。
おすすめ商品を売るには それを着て出かける素敵なシーンであったっり、食べるだけでなく実際に自分で調理する楽しみであったり、ライフスタイルを創造した売り方こそが重要です。
店舗が売り込み商品を設定するということは、商品投資と人材投資をすることです。
少子高齢化のキーワードである、ゆとり、文化的要求に先駆けた ライフスタイルを創造できる従業員を一人でも多く育成する仕組みづくりこそが、会社と個人の幸せを実現させる最短の道であると確信します。
新規出店、改装といった目先の売上に惑わされることなく 商品価値を発見し魅力的に伝えられる人材育成こそが地域社会をリードするチェーンの役割使命といえます。
さて、貴社ではまだ、新規出店投資を先に進めていかれますか?
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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