商業界オンライン2018年6月18日に弊社代表伊藤の記事が掲載されました
パートナーさんの時間外勤務はほぼなくなったが……
管理職の人時生産性はどうなっていますか?
2018年6月18日
「先生、今月も人件費は減りました。でも人時は増えてしまってるのです」
とあるチェーンの人事部長からのご相談です。
お話しをお聞きすると、時間給のパートナーさんの時間外勤務は、ほぼなくなったものの、残業の付かない管理職の人時が、それを肩代わりしてむしろ増えているとのこと。
――問題は違うとこにあるはずです。とキッパリ申し上げました。
パートナーさんの時間外勤務は、作業指示書によって、確認ができるようになり、余計な作業は減ってきました。しかし、本社員のやっている作業は、その人にしかできない業務があり、それが残業となっていました。
――その人にしかできない業務とは、一体、何ですか?とさらにお聞きすると、
「うーん、・・・・・・・ここだけの話、指示事項や報告書だと思います」
と、小声で答えられました。
本部からの指示事項の連絡、特売計画書や、営業展開計画、営業報告書といった、計画書と報告書の作成にかかる作業人時のことです。
実は「答え探し」に時間を掛けている
昨年と同じことをしているのに、報告書や計画書が必要なのかどうか?は疑問ですが、それはさておき、追跡調査をしていきますと、そこで、一番時間が掛かるのは数値の拾い出しであったり、競合チラシの見比べであったりといった、答え探しに時間を掛けているという事実にぶつかります。
当然ですが、そこからは利益を伸ばす発想は生まれません。戦略人時とは、利益を生まない作業を止めて、利益を生む作業に変換し、利益を倍増させていくことです。そういう意味では、利益を生まない資料作成作業は直ちにやめるべき業務の一つといえます。
文書が必要な基準は新しい利益を生むか?
断っておきますが、全ての計画書、報告書づくりが不要と言ってるわけではありません。
新たなプロジェクトであったり、新商品開発、新店開発、改装計画といったものには、全て計画書や報告書は必要です。
言い換えますと、新しい利益を生むかどうか?ということがそういった文書の必要性のポイントであるということになります。
報告書がないと不安という経営者は要注意
しかし、なんでもかんでも報告書がないと不安でしょうがないというタイプの経営者がおられますと、同じような書類がいろんな部門から出されます。それ以外にも、チェーン○○協会や○○商工会や○○省庁からのアンケートなどのお金を生まない報告書は、山ほどあります。お金を払って入会しているのに、わざわざ手間を掛け、請け負うこうした業務は注意しなくてはなりません。人がいっぱいいた大昔であればまだしも、人手が少ない今、真っ先に止めるべきで、その判断は経営者がすべきことと考えます。
書類はガイド数値をつけて作成指示
非効率業務の調査をしていきますと、こういったことが山ほど出てきます。書類作りは今まで、お金がかからない業務の一つと思っている人はおられないと思いますが、作業生産性が求められる時代ですから、この書類は何分でまとめるといったガイド数値をつけて、作成指示を出しませんと、店舗は作業指示書に組み込むことができなくなります。
時間外手当がないからという甘えは禁物
先の、チェーンもその問題に直面されていて、管理職が処理にあたる作業時間が個人に任されているために、旧態依然として、管理職の人時が高止まりになっていのです。
「管理職は、それも含めての手当てがありますから」という声が聞こえてきそうですが。
時間外手当の支払いが発生しないことをいいことに、これを続けていければ、管理職は疲弊していきます。そして、企業としてお金を生まない業務を潜在化させたまま、非効率業務をやり続けることになります。
採用面への影響も出てきている
問題は、そういった本質的な改革に取り組もうとしない経営に対して、新入社員やパートナーさんが、「素晴らしい働き甲斐のある仕事だ」「この企業を選んでよかった」「ここは素晴らしい企業だから長く勤めたい」「友達や身内に紹介したい職場だ」と思えるかどうかで、採用面で避けて通れない問題となってきているのです。
人時改善でまだある陥りやすい罠
「そうはいってもどこから手をつければいいのか・・・・」という声が聞こえてきそうですが。
作業指示書は、全自動洗濯機のようにスイッチを入れたら、全てをやってくれるものでないことは、皆さんご存知のことと思います。
先のチェーンも今後、管理職の業務項目まで明確にした、作業指示書にレベルアップし、人時改善をしていくことになりますが、ここにも陥りやすい罠があります。
管理職の非効率業務は浮かび上がりにくい
というのは、管理職の非効率業務はヒアリングをしても、なかなか浮かび上がってこないということです。そういった仕事がなくなってしまうと、管理職として長年やってきた業務がなくなることから「自分の仕事がなくなる」と勘違いされるため、表立って出てくることが少ないのです。
経営が主体になり管理職の意識を変える
この意識を変えるために、経営が主体となり、その重要性を従業員に向けて伝えていかなくてはなりません。管理本部としても作業指示書運用のレベルアップをサポートする体制を敷いていくことになります。
例えば、報告書を減らすために、全ての数値は自動で出力化する。その出力用紙に差異コメントを入れておくことに変更する。たったこれだけでも店舗管理職の業務は大幅改善できます。
また、業務量削減と合わせ、年次有給休暇の取得率を上げ、実質時間給を引き上げると、従業員の意識高揚につながります。
今後、重要になる指示業務の生産性改善
今やどこでも品出し、加工、清掃といった誰でもできる業務は効率化を図っているところも増えてきています。
詳細は、セミナーでお伝えしておりますが、これからは、こうした本部から出された指示業務の生産性改善にかかってきていると言っても過言ではありません。
貴社では、こうした課題と対峙し、管理職の人時生産性向上の取り組みに着手しておられますか?
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