商業界オンライン2017年10月16日に弊社代表伊藤の記事が掲載されました
「人時売上高」で企業は利益体質に変換できる
2017年10月16日
私の本業は、経営者向けのコンサルティング業ですが、最近お問い合わせいただくのが「店長教育をやって欲しいのですが……」という相談です。「人時生産性について、実践的にやっていただきたい」との要望もあるのでお受けするのですが、経営者の方にも必ず同席いただくことを条件としています。
というのは、店舗の収益力を上げるには、店長のスキル次第という一面もあるものの、その9割は会社の仕組みを変えることで変わると言えるからです。
誰が店長をやっても結果を出せる仕組みをつくる
実際問題として、自社の優秀と言われている店長の名前を挙げてみてもらうと分かるのですが、これから先、そのレベルの人材をどこまで増やせるかと考えた時、そう多くはいないはずです。
経営戦略とは、何をどうやっていくかよりも、全体を俯瞰し、どこから始めて優位に商売をするかということです。少ない優秀な人材を1割に増やすことよりも、誰が店長をやっても結果を出せる店舗運営の仕組みをつくった方が、この先も優位な商売が続けられると理解してもらえると思います。
「それが分からないから 悩ましいのです」という声が聞こえてきそうですが、そもそも、チェーンの店長の仕事は何かと問われた時に、売上最大化なのか、人時売上高を高めることなのかで、やることが全く変わってきます。
前者の場合は、店によって、人によってさまざまなやり方があるわけですが、売上げはコントロールできないものですから、店長としてできることはありそうで何一つありません。後者の場合はやることが絞られますが、店長のやり方次第で結果を変えられます。
余剰人時を、新たに利益を生む機能に再配分できる
人口が増えていた時のように、売上げだけを上げればいいのであれば、コストをかけても売ることだけを考えればよかったのですが、モノが売れない今、売上げを指標にしているだけでは、大変なことになります。
例えば、売上げだけを指標にしていると、どうしても、売上げが上がらないのは「日替わり商品が競合に負けている」とか「チラシのサイズが競合の方が大きい」といったことが議論の中心となりがちです。この結果、解決すべき問題が価格、販促といった表層的な部分に置き換わり、責任部署が不明確なまま問題が先送りされます。
これからは、責任の所在が明確になる人時売上高を指標とすることが、一層重要となってきています。先に記した通り、「売上げ」はコントロールできないので、ここでコントロールできるのは「人時」ですが、コントロールするとは、球技でいえばボールを狙い通りのところに投げる能力ですから、投げる側の責任は明確で、言い訳の時間がほぼなくなります。
人時売上高を指標にすることには、多くのメリットがあります。その最たるものは、人時のコントロール技術が向上してくると、『余剰人時をあらたな利益を生む機能に再配分する』という戦略人時手法が使えるようになり、人時売上高を改善させていくことができることです。
つまり、人時売上高を指標に使うことは、店舗運営に革新をもたらし、企業として利益体質変換への第一歩ということなのです。